研究実績の概要 |
地球内部の410 kmおよび660 km不連続面付近には、固体マントルよりも高い密度を持つ「地球深部マグマ」が存在する可能性が指摘されている。このようなマグマは、圧力が誘起する構造変化により高密度化している可能性がある。しかし、マグマの主要構成元素の一つであるアルミニウム(Al)が高圧構造変化に与える影響については未だ理解が乏しい。本研究は、室温におけるマグマの構造的アナログ物質である二、三成分系のアルミノケイ酸塩ガラスについて、高圧下で弾性波速度測定とX線回折測定・動径分布関数解析を行い、ガラスの高圧構造変化に対するAlの効果を物性と構造の両面から明らかにすることを目的とする。 本年度は、三成分系のアルミノケイ酸塩ガラスのうち、代表的かつ天然に豊富に存在する元素から成るCaO-Al2O3-SiO2系のガラスについて、(1)無容器法ガラス合成装置(愛媛大学)を用いた合成と、(2)SPring-8のBL04B1ビームラインを利用した高圧その場弾性波速度測定を実施した。 ガラスの合成に関しては、既に合成に成功していたCaSiO3およびCaAl2Si2O8組成のガラスに加え、Ca2Al2Si3O11, CaAl4Si3O13, CaAl2SiO6, Ca2Al6Si2O15, CaAl4SiO9ガラス (それぞれAl/(Al+Si) = 0.40, 0.57, 0.67, 0.75, 0.80)を新たに合成することに成功した。 合成したガラスのうち、CaAl2SiO6, Ca2Al6Si2O15, CaAl4SiO9の三組成のガラス試料について、常圧から24万気圧の高圧その場条件下で縦波速度および横波速度の両方を決定することに成功した。
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