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2023 年度 実施状況報告書

日本島弧地殻の“かたさ”のマッピング:地震波速度・密度構造の統合ベイズ逆解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K13197
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

椎名 高裕  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (70796151)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワードベイズ逆解析 / 地震波速度構造 / トモグラフィ / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 令和6年能登半島地震
研究実績の概要

弾性定数の制約するために必要不可欠なパラメータのうち,地震波速度について,その3次元構造の定量的なイメージング手法の開発に着手し,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)を軸とするベイズ型地震波トモグラフィ解析手法を試作した.提案手法では,データ密度に応じた空間解像度の最適や効率的な事後確率分布の探索することを目的としてReversible-jumpアルゴリズムやレプリカ交換法を組み込んだ.
さらに,数値実験により,提案手法の挙動や計算速度を含む,実観測データへ適用する上での課題を検討した.その結果の,3次元速度構造と震源位置の同時推定を行うとき速度構造の収束が非常に遅くなる,という課題が浮上した.その要因の一つとして,速度構造と震源位置に関わるモデルパラメータ数が大きく異なることが考えられた.そこで,当初想定していたモデルパラメータをランダムに更新するアプローチでは,各モデルパラメータの更新を等しく試みるMetropolis within Gibbs(MwG)法によるアプローチの適用を検討した.
具体的な検討の問題設定として,能登半島周辺で発生した地震の震源位置と観測点補正値の同時推定を考えた.能登半島周辺では,2005年から2024年初頭において約4万個の地震が発生している.対して,観測点数は100程度である.このようなモデルパラメータ数に大きな偏りがある条件に対して,MwG法を用いたMCMC解析を行い,尤もらしい観測点補正値および震源位置が推定できることを確認した.また,推定された震源位置の不確定性を定量化したところ,能登半島の沖合で発生した地震では,特に深さ方向で,多峰性を持つ事後確率分布が得られることがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ベイズ型地震波トモグラフィ法の構築が着実に進み,解析手法を試作することができた.性質の異なるモデルパラメータを対象とし,かつその数に大きな偏りがある場合に,一部のモデルパラメータの更新が遅くなるという課題が顕在化したものの,類似の問題に対して解決策を見出すことができた.このため,解析手法を大きく変更することなく,対策が可能である.
以上のことから,当初予定に対して,本年度は順調に研究が進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

提案手法にMwG法を組み込み,数値実験や小さなデータセットに対する適用実験を行い,ベイズ型地震波トモグラフィ法の構築を進める.また,能登半島周辺や中国・四国地方などを中心に,実際の観測データを用いた解析を実施し,3次元地震波速度構造の定量的推定を試みる.
また,弾性定数の制約するために必要不可欠な,もう一つのパラメータである密度構造の推定に向けて,ベイズ型密度トモグラフィ法の開発に向けた準備を開始する.

次年度使用額が生じた理由

予定していた研究打ち合わせや学会への参加を延期したため,次年度への繰越が生じた.
未使用分は,延期した研究打ち合わせや学会参加,成果発表に関わる費用として使用する予定である.

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公開日: 2024-12-25  

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