研究課題/領域番号 |
23K13209
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
後藤 孝介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30612171)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大酸化イベント / ヒューロニアン累層群 / モリブデン同位体 |
研究実績の概要 |
大酸化イベントにおける大気酸素濃度の変遷を明らかにすることを目標に,酸化的風化の指標としての砕屑性堆積岩におけるモリブデン同位体比の有効性を検証した.本年度は,砕屑性ウラン鉱床を含み,貧酸素大気環境下で堆積したことが知られているカナダのヒューロニアン累層群マチネンダ層のモリブデン同位体分析を行った.分析には,エリオットレイク地域より採取された2本のコア試料を使用した.薄片観察の結果,片方のコアからは,砕屑性のウラン含有鉱物が確認された.また,そのコアにはウラン濃度が最大で200 ppm程度含まれていることが,四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた全岩化学分析によって明らかとなった.一方で,ウラン含有鉱物が確認できなかったコア試料には,2-7 ppm程度しかウランは含まれていなかった.ウラン含有量の違いなどから起源物質に多少の違いがあったことが推察されるが,いずれのコアにおいてもマチネンダ層のモリブデン同位体比は,大きな変動を示さず,氷河性ダイアミクタイトの分析によって推定されている太古代の上部大陸地殻の値と概ね一致することが明らかとなった.このことは,モリブデンの酸化還元反応が起きていなかったことを支持しており,マチネンダ層が貧酸素大気環境下で堆積したことと調和的である.ただし,氷河性ダイアミクタイトの値と比べると,同位体比のバラつきは大きく,砕屑性硫化物に含まれるモリブデン同位体比の不均質性などの影響を受けた可能性が考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた試料の化学分析が完了したため.
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今後の研究の推進方策 |
赤色土層を含み,酸化的な環境で堆積したと考えられるカナダのヒューロニアン累層群ロレイン層のモリブデン同位体分析を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた顕微鏡は退職者より譲り受ける目途が立ち,代わりに顕微鏡に接続するカメラ(LEICA FLEXACAM C5)を購入したため,差額が生じた.生じた次年度使用額は,申請時よりも高騰している国際学会への参加費や消耗品代に使用する.
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