現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はこでまで低損傷照射効果を示すGCIBを用いた窒化シリコン膜の反応性エッチング行ってきた。反応性ガスとして金属のエッチングに一般的に用いられるHacacを用いた。このエッチングメカニズムを明らかにするために、窒化シリコン膜に① O2-GCIB照射、② O2-GCIB照射後Ar-GCIB照射、 ③O2-GCIB照射後Hacacを導入しながらAr-GCIB照射したサンプルを作製し、XPS測定による表面の化学組成の違いを検討した。その結果、条件①、②では酸化層(SiO2層)に由来するピークが見られた。これらの結果はAr-GCIBのみの照射ではSiO2は削れないことを示している。一方条件③ではSiO2成分の減少が見られた。 これは、HacacがSiO2と反応しエッチングされていることを示している。上記より、エッチングメカニズムは以下が考えられる。 (a) O2-GCIB照射によるSiNx膜表面の酸化層の形成、(b) Hacacと酸化膜の反応による反応層の形成、(c) O2-GCIB照射による反応層の除去。(a)~(c)の工程が連続的に発生することで窒化シリコンの反応性エッチングが生じる。上記の内容は、国際誌(M. Takeuchi, R. Fujiwara, N. Toyoda, J. Jpn. Appl. Phys., 62, SG1051 (2023))に掲載された。また、我々は、窒化シリコンメンブレンの耐圧性を試験するためのシステムを構築した。その結果、GCIBよって極薄化された窒化シリコンメンブレンは、Ar+ beamで極薄化された場合と比較し、より高い耐圧性を示すことを示した。
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