研究課題/領域番号 |
23K13248
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
長濱 峻介 京都先端科学大学, ナガモリアクチュエータ研究所, 助教 (70754745)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | マイクロリンクル / ヤモリテープ / 吸着力制御 |
研究実績の概要 |
ヤモリの足の表面構造を模倣したヤモリテープ(Gecko-tape)は、微小な突起構造を有し、その突起構造が物体表面と相互作用することで力を発生させ、物体を吸着するものである。我々はこのテープをロボットの把持に応用することで、摩擦力に依存しない低接触力での物体把持が実現できると考え、グリッパーの開発を行ってきた。 ヤモリテープの中でもマッシュルームタイプのテープは高い吸着力を持つ一方で、吸着力の異方性が小さく、物体を開放することが難しいという課題がある。そこで本研究では、布をヤモリテープに埋め込むことにより、微小なシワ(マイクロリンクル)の動的生成が可能な機構を開発し、吸着力の制御を目指した。本年度は、提案手法によりマイクロリンクルが狙い通りに生成しているかを確認するため、圧縮変位を印加しながら提案機構を有するヤモリテープの表面の様子を顕微鏡で観察する手法を開発した。 その結果、布の網目の大きさ(間接的にはヤング率)に応じて生成されるリンクルの曲率や間隔が異なり、また布の特定の位置でリンクルが発生することが確認された。このことから、吸着力の制御においては、ヤモリテープの突起の位置と布の網目の位置関係が重要であるという知見を得た。また、圧縮力を印加した際にリンクルが生成され、力を除荷した際にはリンクルが消えることから、リンクルが吸着力の強さに影響していれば、本提案機構により可逆的に吸着力を制御可能であることが示唆された。 提案機構を有するヤモリテープの吸着力を確認する実験では、圧縮力の有無による吸着力の差を確認できたことから、リンクルの生成が吸着力に影響を与えていると考えられるが、実際に観察して確認したわけではない。今後は、本年度開発した顕微鏡システムと吸着力計測機を統合し、リンクルと吸着力の関係を明らかにしていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに次の3つの項目は実現している.(1)ヤモリテープに布を埋め込む技術の開発、(2)圧縮力の印加によりマイクロリンクルが生成することを顕微鏡で確認,(3)圧縮力の印加により吸着力が制御できることを吸着力の計測により確認. 今後は,(2)と(3)を合わせることで,リンクルの様態に応じた吸着力を計測することができれば,提案した研究内容の成果としては十分だと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は2023年度に開発したマイクロリンクルの観察手法に加えて、吸着力の測定を行うことで、吸着力とリンクルの様態の関係を明らかにしていきたい。圧縮力を提案機構(ヤモリテープ)に印加した際の吸着力を計測する装置はすでにできており、リンクルの様態を観察する装置は2023年度に開発した。これらの2つを統合することで、リンクルの様態に対応した吸着力を計測できることが期待でき、リンクルが吸着力の制御に寄与していることを確認できると考えている。また、実際のロボットグリッパーにおける応用実験を通じて、提案機構の実用性を評価する予定である。 2023年の7月より、所属する京都先端科学大学では実験を行うことが不可能な状況となり、早稲田大学に実験の拠点を移すことになったが、早稲田大学の計らいにより、多くの時間を実験に割ける状況である。一か所に機材を集められたことで、多くの実験手法を連携して実験ができるようになったため、今後研究が円滑に進むことを期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は所属する京都先端科学大学から実験設備を移すことを余儀なくされ,設備を早稲田大学にすべて移設した.東京で実験しながら京都にある予算を使用する方法が分かっていなかったため,予算を執行することが難しかった.次年度は,予算の使う方法が見いだせたため,できるだけ執行していきたい. ヤモリテープを観察する顕微鏡やカメラを主に購入する予定である.
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