研究課題/領域番号 |
23K13265
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
出島 一仁 滋賀県立大学, 工学部, 講師 (20846810)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 火炎・壁面間干渉 / MEMS / 計測技術 / イオンプローブ |
研究実績の概要 |
次世代燃焼器の開発へ向けて,火炎・壁面間干渉の原理解明が求められている.本研究では,MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)技術を用いて測温抵抗体とイオンプローブを集積化した薄膜センサアレイを製作することで,高い時空間分解能で壁面温度・熱流束および壁面近傍の火炎挙動を捉えるセンサを開発する.さらに,測定した熱流束の位相差から速度を推定することで,熱輸送・燃焼反応・流動の同時計測が可能なマルチセンシング技術の開発を目指す. 2023年度は,MEMS技術による薄膜イオンプローブの製作を行い,それによって得られるイオン電流と火炎挙動の関係や,イオンプローブのデザインの影響を調査した.ここでは大気圧下での層流燃焼実験を行い,ハイスピードカメラによる可視光撮影にて火炎挙動を捉えることで,イオンプローブによる測定値との比較を行った.その結果,火炎が壁面から数百マイクロメートル程度の範囲に接近するとイオン電流を検出し始め,さらに壁面に近づくにつれてイオン電流が大きくなり,その後消炎に至るとイオン電流は減少することが確認された.ただし,ハイスピードカメラの撮影速度の不足から,壁面極近傍での火炎壁面間距離とイオン電流の関係を十分に明らかにすることができておらず,次年度の課題である.そのほかに,イオンプローブの電極間距離を広げると火炎検出距離が長くなることがわかった.この裏付けとして,簡単なシミュレーションにより電界強度分布を計算し,実験結果と矛盾しないことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,MEMS技術を用いて薄膜イオンプローブと薄膜測温抵抗体を集積化したセンサを製作することに成功し,火炎・壁面間干渉におけるイオン電流と壁面熱流束の同時測定を実施することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はハイスピードカメラの撮影速度の不足から,壁面極近傍での火炎壁面間距離とイオン電流の関係を十分に明らかにすることができなかったため,高分解能な撮影を行って火炎・壁面間干渉とイオン電流の関係を調査する.また,計測データの検証として赤外線サーモグラフィとの同時測定を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
3月支払いの京都大学ナノテクノロジーハブ拠点利用料を見込み金額で事前申請し,実際の利用料がそれを下回ったため.余剰分は2024年度のナノテクノロジーハブ拠点利用料等に充てる予定である.
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備考 |
滋賀県立大学 工学部 機械システム工学科 エネルギーと動力分野ホームページ https://www.mech.usp.ac.jp/~prw/research.html
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