研究課題/領域番号 |
23K13289
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉田 光輝 東京工業大学, 国際先駆研究機構, 特任助教 (60943587)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ソフトアクチュエータ / DNAナノテクノロジー |
研究実績の概要 |
本研究は,配向性を制御したDNAアプタマーをハイドロゲルに導入することで,DNAアプタマーの構造変化をマクロスケールまで増幅させたセンサ統合型アクチュエータを開発することを目指い↓研究である.2023年度は,計画していたDNAアプタマーの塩基配列設計と構造変化評価を行った. はじめに,DNAアプタマーの塩基配列として銀イオンに応答する配列を先行研究をもとに決定した.次に,DNAアプタマーのマクロスケール化のために,3つの1本鎖DNAによってY字型DNAナノ構造体をDNA構造解析ソフト (NUPACK) を用いて設計した.Y字型DNAナノ構造体の間をDNAアプタマーが結合するように,DNAアプタマーの両端に粘着末端を設計することで,DNAアプタマーを含むDNA構造体の製作を行った.電気泳動によってY字型DNAナノ構造体の形成およびDNAアプタマーがY字型DNAナノ構造体に結合していることを確認した.DNAアプタマーが結合したDNAナノ構造体に銀イオンを添加した際の挙動を共焦点レーザ顕微鏡を用いて観察した.さらに,DNAナノ構造体の観察に向けて,金表面上に固定化するためにチオール修飾した1本鎖DNAを介したDNAナノ構造体の固定化手法を確立した. DNAナノ構造体の金表面上への固定に関して国内学会(第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム,第7回分子ロボティクス)でポスター発表を行った. 今後は,DNAアプタマーによる収縮機能をさらに向上するためにローリングサークル増幅によるDNAアプタマーの複製などを行う.また,配向性を制御するためのマイクロ流体デバイスの開発も進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,計画していたDNAアプタマーの塩基配列の設計およびを配向性制御に向けたY字型DNAナノ構造体の設計を行った.また,Y字型DNAナノ構造体とDNAアプタマーを結合することで,マクロスケール化を達成したため,研究計画が概ね順調に進展したと考える. はじめに,DNAアプタマーの塩基配列として銀イオンに応答する配列を先行研究をもとに決定した.次に,DNAアプタマーのマクロスケール化のために,3つの1本鎖DNAによってY字型DNAナノ構造体をDNA構造解析ソフト (NUPACK) を用いて設計した.Y字型DNAナノ構造体の間をDNAアプタマーが結合するように,DNAアプタマーの両端に粘着末端を設計することで,DNAアプタマーを含むDNA構造体の製作を行った.電気泳動によってY字型DNAナノ構造体の形成およびDNAアプタマーがY字型DNAナノ構造体に結合していることを確認した.DNAアプタマーが結合したDNAナノ構造体に銀イオンを添加した際の挙動を共焦点レーザ顕微鏡を用いて観察した.さらに,DNAナノ構造体の観察に向けて,金表面上に固定化するためにチオール修飾した1本鎖DNAを介したDNAナノ構造体の固定化手法を確立した. DNAナノ構造体の金表面上への固定に関して国内学会(第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム,第7回分子ロボティクス)でポスター発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はマイクロ流体デバイスによる配向性制御技術の確立とDNAアプタマーゲルアクチュエータの開発を行う.現在,Y字型DNAナノ構造体とDNAアプタマーを結合することでマクロスケール化に成功したが,DNAアプタマーの構造変化による収縮が確認できていない.そのため,新たな方法としてローリングサークル増幅 (RCA) によるDNAアプタマーの複製技術を用いたDNAアプタマーゲルの構築を行う.RCAによって増幅されたDNAアプタマーは互いに絡まりあいマクロスケールのゲルとなる.はじめに,DNA構造解析ソフトを用いてRCAによって複製可能なDNAアプタマー配列を持つ円環状DNAの設計を行う.RCAによって作製したDNAアプタマーゲルの銀イオンへの応答性を評価する.RCAはマイクロ流体デバイス内でも行うことができるため,送液しながらRCAが可能なマイクロ流体デバイスを開発する.また,RCAによって複製DNAアプタマーを互いに絡ませあうために,流路内に渦を発生させ混合を促進する機構などを取り入れることも検討する.その他に,3Dプリンティングに用いられる液体塗布装置も配向性制御DNAアプタマーゲルの作製装置の候補として検討している.最終的に構築した配向性制御DNAアプタマーゲルの収縮率と配向性制御をしていないゲルの収縮率を比較することで,配向性制御によるアクチュエータの機能向上を評価する.本研究で得られた研究成果は国際学術論文誌へ投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議MEMS2024への出張を取りやめたため繰越額が発生した.次年度のDNAなどの試薬の購入費にあてる.
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