研究課題/領域番号 |
23K13290
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
MAO ZEBING 東京工業大学, 工学院, 研究員 (90918228)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 機能性流体 / 電気流体力学 / ソフトアクチュエータ / ロボット / 高電圧回路 |
研究実績の概要 |
今年度、EHDポンプを用いたソフトロボティクスに関する3つのプロジェクトに取り組みました。 一つ目のプロジェクトでは、柔軟なEHDポンプと天然ラテックス層を組み合わせて、簡単で効率的なソフト流体ローラーを設計しました。このローラーは非常に軽量で(0.7グラム)、高電圧回路を使って制御される液体の振動機構によって転がり動作を実現しました。電極の配置パターンやチャンネルの高さを最適化し、出力力や効率、圧力損失、曲げとねじれの性能を評価しました。また、ローラーの性能における摩擦力の影響を調査し、流体環境での転がり動作の実用デモを行いました。 二つ目のプロジェクトでは、柔軟なEHDポンプの圧力と流量をより正確に予測するために、機械学習モデルを開発しました。ランダムフォレスト、リッジ回帰、ニューラルネットワークなどのモデルを使い、電圧、角度、チャンネルジオメトリなどの入力変数から圧力、流量、パワーなどの重要なパラメータを効果的に予測しました。特に、ニューラルネットワークモデルは圧力と流量の予測に高い精度を示しました。 三つ目のプロジェクトでは、EHD原理を用いた柔軟な無弁水ポンプの設計、製作、特性評価を行いました。EHD流体と水の間にインターフェースを設定し、ポンプが4kVの電圧と10Hzの周波数で動作すると、流量は0.03 ml/minに達しました。このポンプをノズル/ディフューザーシステムの適用電圧、周波数、水力ダイナミクスを考慮してモデル化し、実験結果とシミュレーション結果を比較したところ、一致性の傾向を示しました。応用として、柔軟で平面的な無弁水ポンプを用いた流体チャンネル内の気泡を操作し、油中水滴を生成することを実現しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題における開発成果として、機械学習モデルに関する論文が2023年度のジャーナル「Best Paper Award」を受賞するなど、非常に高い評価を受けています(投稿された論文のうち上位約2%の論文が受賞する賞)。さらに、柔軟な無弁水ポンプに関する研究論文もScience Partner Journalに採択されました。今年度も国際会議での論文採択や実用化の可能性を含む研究成果を確実に積み上げております。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に基づき、今後も研究を進行する予定です。特に最終年度には、開発した軽量電気回路を活用し、機能性流体システムを用いた高速かつ小型のロボットに関する研究を推進します。さらに、最新の深層学習技術を適用して、ロボットの動作解析を行う計画です。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の異動に伴い、新たな機材の購入、研究材料の調達、および実験施設の拡張が必要となりました。レーザードップラー振動計や微小な力と変形を測定するセンサーを新規に購入する予定です。また、電極やポリ袋の製作、流体システムの密封に必要な装置も購入予定です。
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