研究課題/領域番号 |
23K13311
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芳澤 信哉 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90778185)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 電気自動車 / 充電管理 / 配電系統 / 位置情報ビッグデータ / 流動人口データ |
研究実績の概要 |
本研究課題では,電気自動車の普及拡大が進む配電系統において、充電需要の増加による電圧逸脱や配電線路容量の逼迫等の運用制約の逸脱や電力品質の悪化を解決しながら、電気自動車間での充電電力量の公平性を確保する分散型充電管理手法の開発を目的としている。令和5年度は計算環境の構築を進めるとともに、(1)解析対象の低圧配電線モデルの構築,(2)流動人口データを用いた電気自動車の充電需要推定、に取り組んだ。
(1)低圧配電線モデルの構築では,研究代表者がこれまでに構築・公開してきた低圧系統モデルを拡張する形で構築を進め、電気自動車の充電需要増加に伴う配電系統の運用制約違反条件を明らかにするために、電力需要データ、太陽光発電データ等の配電系統解析に必要となるデータとネットワークトポロジーとを紐づけ、使用データと配電線電圧、電力潮流との関係性を整理した。
(2)流動人口データを用いた電気自動車の充電需要推定では、位置情報ビッグデータである流動人口データを用いて電気自動車の走行特性を模擬した充電需要の推定を行った。具体的には、近畿2府4県を対象とした流動人口データから、電気自動車の充電推定に必要となる起終点分布、出発・到着時間等の移動データ情報を抽出し、これらのデータから電気自動車の走行経路や走行距離を割り出すことで、到着時のSoC推定と必要な充電電力量の算出を行った。これにより、電気自動車の走行特性を模擬した充電需要推定を可能とした。また、季節による人の移動の差異を考慮するため、2月、8月、10月、11月のそれぞれ1週間の流動人口データを用いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
位置情報ビッグデータのデータ容量が非常に大きかったことから、データ解析に時間を要したものの、起終点分布、出発・到着時間等の移動データ情報の抽出や電気自動車の充電電力量の推定までを完了し、申請時の研究計画に従って順調に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に構築した低圧配電線モデルと電気自動車の充電需要推定結果を活用し、電気自動車の充電需要パターン、低圧配電線内で同時に充電する電気自動車数等にばらつきを持たせたリスク評価を実施する。加えて、電気自動車間での充電電力量の公平性を定義することを目的として、配電系統の電気的特性に基づく電圧・電力感度行列の算出を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品を見積金額より安く購入できたこと、予定をしていた学会への参加ができなかったことから、次年度使用額が生じた。これらの費用は解析ツールの拡張や研究成果発表に使用する予定である。
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