研究課題/領域番号 |
23K13344
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
岩佐 祐希 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (90838947)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 紫外放射傷害 / 分光放射照度 / 簡易分光 |
研究実績の概要 |
本研究は、多様化する殺菌用紫外光源に対応する有人環境における紫外線照射量管理のために、マルチバンド分光紫外放射照度計を開発する。 近年、LEDなどの固体デバイスの開発やエキシマランプベースの250 nm以下の紫外放射を用いた殺菌用紫外光源が盛んに開発されている。一方で、計測に着目すると、従来法からの大きな進展がなく、多様化する光源に対応できているとは言い難い。そこで、簡易的な分光法を採用し、ユーザーフレンドリーな紫外放射照度計の開発を目指す。 一年目は、本手法の基礎となる、差動フィルタ法の原理検証を行った。200 nmから400 nmに吸収端を持つ、短波長カットフィルタを10種類用意し、このフィルタを電動フィルタホイールに設置した。このフィルタをSiフォトダイオード、精密アパーチャと組み合わせた受光器を用い、各チャンネルに対する応答を測定する実験系を作成した。標準にトレーサブルな体系で分光放射照度の参照値が付けられた紫外光源を測定し、参照値と実験系での測定値の比較を行った。この結果、簡易分光を行った場合、参照値から20 %以内の差で測定が可能であることが分かった。分光を行わなかった場合には100 %以上のズレが生じたことから、本手法が多様な光源の測定に有用であることが分かった。一方で、フィルタの吸収端は10 nm以上かけてなだらかな吸収率変化領域を有しており、解析方法によって結果に差異が生じることも明らかとなった。今後、最適な解析方法の必要がある。 また、新材料を用いた分光素子の探索のため、分光器を用いた評価装置の構築も行った。分光器、ファイバ、入射光学系を用い、単色光を積分球内に設置した試料に照射する装置を作成した。現在は、高次光対策のフィルタ系および、動作プログラムの整備に取り組んでいる。今後は、この装置を用いて、新材料を用いた新たな分光素子開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、複数のフィルタを用いて簡易分光法の原理検証および、分光素子開発のための評価装置の整備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
簡易分光法の検証については、新しい解析手法を試行し、最適な手法を選択する。また、マルチチャンネルを組み込んだ放射照度計を設計し、プロトタイプ機の試作を行う。分光素子開発については、整備した測定装置を用いて評価を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であった紫外光源および受光器について、使用可能な物品を別途譲渡されたことにより、その購入分費用が余った。この予算については、次年度以降にプロトタイプ機の評価を行うための光学ステージ類の購入に充てることを計画している。
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