研究課題/領域番号 |
23K13392
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦詞 東北大学, 工学研究科, 助教 (20898118)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 合成構造 / 鉄骨構造 / 応力伝達機構 / 制振構造 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
本年度は,繰返し応力を受ける機械的ずれ止めの力学性能評価を目的として,スラブに圧縮・引張の繰返し応力を作用させる合成梁要素試験体を構築し繰返し載荷実験を行った。機械的ずれ止めとして頭付きスタッドを用いた場合,スラブ埋込み部からひび割れを生じ,引張応力下における最大せん断耐力が圧縮応力下に比べて27~49%に低下することを示した。孔あき鋼板ジベルを用いた場合,応力伝達が孔部で局所化するため,圧縮・引張応力下で最大せん断耐力が概ね同一となることが確認された。また,近年欧州で開発が進んでいるパズル型・クロソイド型ずれ止めでは,せん断剛性・耐力がスタッドよりも大きく,引張応力下での性能低下量も小さいことが明らかになった。一方で,スラブひび割れ後には鉄筋に応力が伝達され,終局時までせん断耐力が残存することから,合成梁の性能に影響する可能性があることが示唆された。 上記の載荷実験では,ずれ止め諸元やスラブ幅が網羅されていないことを受け,材料履歴構成則等をキャリブレーションした有限要素解析モデルを構築した。さらに,実験では計測が難しいスラブの応力分布やずれ止め界面におけるひび割れ進展状況について検討を深めた。解析結果と実験結果の対応が確認されたことから,各影響因子を変数としたパラメトリックスタディを展開し,力学性能のデータベースを構築した。最終的に,得られた結果を基に,繰返し応力下における各ずれ止めの最大せん断耐力とせん断剛性の評価式の構築に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討対象項目について,評価式の構築が完遂できており,おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果は,次年度予定している合成梁部材に対する検討の基礎的知見となる。合成梁の性能は鉄骨梁-スラブ間の応力伝達で規定されるが,材料非線形性と応力伝達機構の変動の影響が大きく,精緻に解明されてこなかった。さらに,合成梁の反曲点も応力伝達量によって逐次変化することから,次年度は正曲げ・負曲げ区間を再現できる部分架構試験体に対する載荷実験・有限要素解析を行い,ずれ止めの応力伝達量を陽に反映した合成梁の保有性能評価法を確立する予定である。
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