研究課題/領域番号 |
23K13415
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 真史 京都大学, 防災研究所, 助教 (50897858)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 洪水リスク評価 / 渇水リスク評価 / 統合的水動態モデル / 分布型水文モデル / 気候変動 |
研究実績の概要 |
本研究は、既に高解像度で整備された日本全国の全河川を網羅する広域150m角高解像度流出氾濫モデルをベースに、水需要・取水配水・水使用の各モデルの詳細なデータベース構築とカップリングを行い、既に物理的に表現可能な洪水被害に加えて、渇水被害を地先スケールの同一解像度で統合的に再現するモデルの開発を目指し、また開発したモデルを活用した浸水害・渇水害を統合した水害リスク評価と整備戦略の検討を目標とする。本年度は統合水害モデル開発のため、ベースモデルである150m角流出氾濫モデルへのモジュール導入・高度化として、下記(1)から(4)を実施した。 (1)受益面積100ha以上の農業用用水・排水施設を対象として所在地データを所管官庁・管理者から収集し、我が国の主要な河川取水水資源インフラの位置情報データベースを構築した。 (2)データベース上で水路網と数値標高モデルを組み合わせて流下方向を推定し、取水点・排水点・受益領域と紐づけることで、河川からの取水(取水点)、水路網による配水と排水(水路網・受益領域)、河川への排水(排水点)という河川水の利用プロセスを再現するためのデータを作成した。 (3)日本全国150m角流出氾濫モデル上の河道網上に取水点・排水点を投影、位置補正を実施し、ベースモデル上に主要な河川取水水資源インフラを配置し空間結合した。 (4)各受益領域と土地利用メッシュデータから、各受益領域における実際の灌漑水利用領域を設定した。また、歴年の作物統計データから各受益領域において考慮すべき代表作物を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度取り組んだ課題のうち、地先スケールでの渇水リスク評価に必要となる(1)河川取水水資源インフラの日本全国を対象としたデータ収集・データベース化と、(2)河川取水・配水・排水を考慮するために必要なデータ間連携、および(3)ベースモデル上の河川網との結合については、当初の予定通りに進捗した。また、実際の必要取水量を算出するにあたって、データ上の受益領域と実灌漑領域との差異、および各受益領域による代表作物モデルの選定が提案時には考慮していなかった課題となり、(4)の研究を実施した。 一方で、もう一つの課題であった、作物生育モデルを利用した水需要量の算出とベースモデルの河川モジュールとのカップリングについては、上記(4)の追加作業に伴い、予定からやや遅れている。本年度収集・算出したデータを活用し、次年度以降着実に同研究を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として、本年度に収集・算出したデータを活用し、下記(a)・(b)を重点的に実施する。 (a)渇水を考慮した作物生育の再現:各受益領域における作物生育モデルを利用した水需要量の算出とベースモデルの河川モジュールとのカップリングを行い、実際の渇水状況における作物生育を再現する。2023年度に空間結合したベースモデルの河川網と水利インフラ間における取水・排水モジュールを開発し、過去の大規模渇水イベントを対象に、カップルドモデルによる河川実流況・作物実作況の再解析を実施する。 (b)低水流量の再現性の評価:高水流量再現を主目的とするベースモデルにおける低水流量の再現性を過去再解析によって評価する。また、低水流量や水資源量に対する降融雪などの影響が大きい領域においては、降融雪再現モデルのモジュール化等の考慮手法を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度においては当初、(1)地先スケールでの渇水リスク評価に必要となる河川取水水資源インフラの日本全国を対象としたデータ収集・データベース化と河川取水・配水・排水を考慮するために必要なデータ間連携・ベースモデルへの空間結合、続いて(2)収集・算出したデータを用いた作物生育モデルとベースモデルのカップリング、を実施し、過去期間における浸水被害・渇水被害の算出を実施する予定であった。しかしながら、(1)において収集した配水受益領域データと実際の農地領域データとの差異が無視しえない規模であり補正作業が必要であったことや、各領域において解析対象とすべき代表作物の作物統計に基づく選択作業等、当初計画にない作業工程が入ったことで、(2)のモデルカップリングが終了せず、大規模な計算資源が必要となる解析段階まで研究が進まなかった。このため、解析に使用する計算資源やデータ保存機器の購入を次年度に見送り、当初計画との差異が生じた。 次年度は過去期間における浸水被害・渇水被害の算出を実施するため、本年度購入予定であった計算資源およびデータ保存機器を購入するとともに、当初の次年度計画の通り、論文発表・学会発表の為の投稿費や旅費等、及び研究補助者への人件費に支出を行う。
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