研究課題/領域番号 |
23K13474
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小松 萌 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (80822139)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 農的空間 / 立地形態 / 類型化 / 計画実態 |
研究実績の概要 |
本年度の成果は主に、1.農地の立地形態とその特徴に基づく類型化の手法の検討、2.事例リストの更新及び追加、3.国内事例の計画実態の解明と整理の3つである。 まず、農地の立地形態と農政策との関係を明らかにするにあたり、農地の立地形態の分析及び表現方法を検討する必要があると考え、1. 農地の立地形態とその特徴に基づく類型化の手法を検討した。本年度、本研究では、農地保全と宅地開発の二項対立的な枠組みの中でつくられた市街地構造とは異なり、都心度が高いのにもかかわらず多くの農地が住生活にとって重要な場所に立地している地域もあるのではないかという仮説のもと、関東大都市圏の28区について類型化を試みた。具体的には、如何に都心3区と類似しているかを示す都心度に基づく4つの類型と、都市基盤との近接性によって示される農地の立地形態に基づく4つの類型を重ね合わせることとした。その結果、13個の類型に分類することができ、また、都心度が高いエリアでありながら農地が比較的多く存続しており、農地が住生活にとって重要な場所に立地している区として世田谷区と江戸川区を位置付けた。なお、この成果は論文にまとめ、都市計画学会へ報告した。 2.事例リストの更新及び追加では、主に、三重県四日市市、東京都世田谷区、東京都稲城市の農的空間事例を中心に、これまで作成してきた事例リストに追加し、資料調査や現地でのヒアリング調査によって基本情報を整理した。 3.国内事例の計画実態の解明と整理では、2.で追加した事例について、資料調査や現地でのヒアリング調査によって組織形態や関係者の相互関係、活用制度、運営実態、所有形態などを明らかにし、整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究スケジュールでは、2023年度には各国の農政策の整理と農地の立地形態と農政策との関係の解明を実施する予定であったが、それ以前に農地の立地形態とその特徴に基づく類型化の方法を検討する必要があると判断したため、この2つの研究項目の実施には至らなかった。しかしながら、類型化の方法の検討が完了したこと、また、事例の計画実態の解明と整理が予定よりも進んでいることから、進捗状況は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施できなかった各国の農政策の整理と農地の立地形態と農政策との関係の解明を進めるとともに、2024年度も継続して事例の計画実態の解明と整理に取り組む予定である。また、前述の理由により着手しなかった国外事例の収集とその実態解明についても推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度には各国の農政策の整理と農地の立地形態と農政策との関係の解明を実施する予定であったが、それ以前に農地の立地形態とその特徴に基づく類型化の方法を検討する必要があると判断し取り組んた。そのため、実施予定であった国外事例の計画実態の現地調査について、研究内容の進捗に合わせて次年度に実施することが望ましいと考えた。以上の理由より、次年度使用額が生じた。
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