研究課題/領域番号 |
23K13513
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内田 英明 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (90837387)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 電気自動車 / 交通シミュレーション / 配電系統 / マルチエージェント / OpenDSS |
研究実績の概要 |
本研究課題は(目的1)道路交通網-電力系統を精緻に表現したデジタルツインを開発し,(目標2)EV充電の多段階・多目的最適化を実施するものである.初年度である2023年度は(目的1)にあたる統合シミュレータの開発を実施した. 過去の研究において交通流シミュレータeMATESと配電系統の潮流計算ツールOpenDSSを組合せた連成ミュレーションモデルの開発は完了しており,本課題ではリアリスティックなシナリオ分析のために,実地域を詳細に再現するデータセットの構築に重点を置いた.シミュレーション対象とする地域は日本に実在する需要家数7100軒程度の約6㎞四方の郊外地域であり,送配電事業者提供の電柱位置情報等を用いて作成した7フィーダー規模の配電系統モデルをOpenDSSの入力データとし,OpenStreetMapを用いて作成した同地域の道路網をeMATESの入力データとした. 本年度はこの入力データの検証を行い,結果としてPV発電に伴う逆潮流の無効電力増加や,夕方の帰宅時間帯以降のEV充電による電圧低下,基準電圧逸脱が観測された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べたとおり,初年度においてシミュレータの開発が完了しており,シナリオ分析に必要な実地域の配電系統・道路交通網の準備も順調である.以上のことから,3年間の課題期間を鑑み順調な進捗状況であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
上述している(目的2)においては,シミュレータを利用しEVと太陽光発電(PV)が大量普及した環境下における課題分析とその解決策を提案する.特にCSの配置問題は重要な課題であり,優先して取り組む.任意のシナリオに対し,EVの総旅行時間・消費電力を目的関数とした最適配置問題だけではなく,EVの急速な普及や少子高齢化といった今後予想されるシナリオに向けた多段階の配置問題としても定式化する. また,送配電事業者との共同研究の枠組みにおいて,今年度対象としている郊外地域のほか,様々な地域特性を持った対象地域を選定し,それぞれについて詳細なモデルが準備可能となっている.インフラの配置問題は地域性に大きく依存するため,この観点における分析を検討している.
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次年度使用額が生じた理由 |
送配電事業者との共同研究契約により,当初予定していた実系統モデル作成の費用が大幅に削減された.一方,データをある程度人力で作成することによる必要があったため,その分を人件費として計上した. 2023年度に発生した使用残額は,2024年度に実施予定の他地域における実系統モデル作成のための人件費として使用する計画である.
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