研究課題/領域番号 |
23K13533
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
高山 翔揮 静岡大学, 農学部, 助教 (10908619)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 天然ダム / 決壊洪水 / 予測 / 水路実験 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
巨礫や細粒分を含む天然ダムの決壊過程を解明し、その決壊に伴う洪水流量を予測できる数値シミュレーションモデルを開発することを目的とした。 巨礫を含む天然ダムの越流侵食過程を模擬する水路実験を実施した。天然ダムに含まれる巨礫の割合と流入流量が異なる6つの条件下で実験を3回ずつ繰り返した。これらの実験の結果から、天然ダムに巨礫が含まれると、天然ダムが越流水に侵食されるプロセスが変化することに伴って、決壊に伴う洪水流量が大きくなる場合があることが明らかになった。また、浅水流方程式に基づく混合粒径土砂を考慮した天然ダムの越流侵食過程を表現できる数値シミュレーションモデルを構築し、実験結果との比較によりモデルの妥当性を検証した。その結果、数値モデルは実験のダム縦断形状の時間変化と洪水ハイドログラフを的確に再現できることが示された。 細粒土砂を含む天然ダムの侵食過程を模擬する水路実験を行った。流入流量、細粒土砂の割合、水路勾配が異なる37の条件下で実験を3回ずつ繰り返した。これらの実験の結果から、越流水中に浮遊する細粒土砂の割合が増大すると、天然ダムの縦断形状の時間変化が変化することが示された。一方で、細粒土砂の浮遊土砂の割合とピーク流量との間にはほぼ相関がないことが示された。これらの結果から、決壊中のダム縦断形状の時間変化を予測するためには細粒土砂の浮遊を適切にモデル化する必要があるが、決壊に伴うピーク流量を予測する上では細粒土砂の浮遊は無視できる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、巨礫と細粒土砂を含む天然ダムの越流侵食過程を模擬する水路実験を行うことができた。また、巨礫を含む天然ダムの越流侵食過程を再現できる数値シミュレーションモデルも構築することができたため、おおむね順調に研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、土層構造を有する天然ダムの決壊過程の実験を行うとともに、細粒土砂や土層構造を有する天然ダムの決壊過程を予測できる数値シミュレーションモデルの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
水路実験の補助として学生謝金を計上していたが、研究代表者のみで実験を行うことが可能であった。そのため、実験補助の謝金は0となった。 次年度は、実験や数値シミュレーションの補助の謝金として計上する。
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