研究課題/領域番号 |
23K13536
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研究機関 | 山梨県富士山科学研究所 |
研究代表者 |
亀谷 伸子 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (50848562)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 水蒸気噴火 / 熱水系 |
研究実績の概要 |
本研究で対象とする草津白根火山は、有史以降水蒸気噴火を繰り返している活火山であり、2018年にも水蒸気噴火を発生している。同火山の山頂部には複数の活動場(火砕丘などの火山体)があり、これら各火山体の水蒸気噴火履歴と規模、熱水系との関係はまだ明らかになっていない。これらを地質調査と物質科学的手法から明らかにし、効果的な観測体制整備や火山防災対策に役立てることが本研究の目的である。 R4年度は、白根火砕丘周辺での調査をおこなった。その結果、3800年前以降~700年前の期間に10枚のテフラ層が認められ、いずれも粘土質で本質物を含まない水蒸気噴火由来の堆積物と考えられる。また、隣接する志賀火山の水蒸気噴火テフラについても試料採取をすることができた。これらのXRD分析の結果、石英とクリストバライトの含有量についてX線強度を基にみてみると、石英/クリストバライト比が高いテフラと低いテフラの2グループが見られた。石英/クリストバライト比が低いテフラのほうが枚数が多く、噴火頻度が高いと判断される。顕微鏡観察により、石英/クリストバライト比が高いテフラにはモザイク状石英が多く含まれており、これらは火山体内部に発達した石英脈の破片であると考えられる。さらに、変質度の低い火山岩片の割合も高いことから、これらは未発達な熱水系由来であると考えられる。一方、石英/クリストバライト比が低いテフラは隠微晶質な変質岩片を多く含むことから、比較的発達した熱水系由来であると考えられる。このように、噴火頻度と熱水系の発達度が関連していることを示唆する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
隣接する志賀火山の水蒸気噴火テフラについても分析を進めることができ、草津白根山に類似する特徴をもつなど興味深い結果が得られたが、岩石組織解析等は予定通り進めることができなかった。年代測定費用を他経費で充当できたことなどから、初年度の使用額は予定より少なかったが、さらに調査や分析を増やす2年目以降に有効に活用できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き地質調査をおこない、水蒸気噴火テフラの分布域を基に噴火規模を明らかにする。トレンチ調査に適した場所があれば、手掘りで掘削を実施する。岩石組織解析や化学組成分析をおこない、熱水系の物質科学的特徴を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年代測定費用の一部を他経費で充当できたため。余剰分は次年度以降の年代測定や試料分析に使用する予定である。
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