研究課題
本研究では、パワーモジュールの金属エポキシ樹脂の異材界面に視点を置き、界面の信頼性劣化のメカニズムを解明することを目的とする。レーザー開封により、実際の封止パッケージで金属とエポキシ樹脂の強度を評価できる手法を確立した。銅/エポキシ樹脂の界面に対し、高温放置試験(200℃、1000時間)、温度サイクル試験(-55℃~175℃、500サイクル)、プレッシャークッカー試験(121℃、100%RH、2atm、192時間)、高温高湿放置試験(85℃、85%RH、2000時間)を行い、接合強度の変化を評価した。信頼性実験後、強度の変化を調べるため、銅側、樹脂側の破壊面、接合界面に対し、様々な実験的評価手法と分子動力法を用いて調査した。実験結果から分かる重要なことは以下になる。(1)高温環境(200℃)において、銅がエポキシ樹脂内部に約100 nm拡散することができる。その拡散によりエポキシ樹脂の高温劣化が加速させ、接合強度に悪い影響を与える。(2)銅が自発的エポキシに拡散することではなく、エポキシ樹脂に含まれる硫黄、塩素の不純物が銅板表面の酸化銅と反応し、銅イオンを生じることにより、拡散が発生する。(3)銅拡散を抑えるため、二つ手法が有効である。硫黄、塩素を含まないエポキシ樹脂を使用する。銅表面の自己組織化分子膜を塗布することによる酸化銅と樹脂中の不純物の接触を遮断する。(4)高湿環境において、エポキシの吸水だけではなく、銅表面の酸化も同時に発生する。総合的な評価が必要である。(5)分子動力法の結果から示すように、酸化銅の結晶方向がエポキシ樹脂との接着に大きく影響する可能性がある。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件) 産業財産権 (1件)
Applied Surface Science
巻: 656 ページ: 159694~159694
10.1016/j.apsusc.2024.159694
Materials Letters
巻: 361 ページ: 136157~136157
10.1016/j.matlet.2024.136157
巻: 660 ページ: 159970~159970
10.1016/j.apsusc.2024.159970
Microelectronics Reliability
巻: 149 ページ: 115211~115211
10.1016/j.microrel.2023.115211