研究課題/領域番号 |
23K13612
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
西川 洋平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (90867277)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 環境ウイルス / 根圏 / バクテリオファージ / ゲノミクス |
研究実績の概要 |
本研究では、微量な土壌に含まれるウイルス粒子を対象として、1粒子レベルでの詳細なゲノム解析を可能にする技術を開発する。また、開発した技術を植物の根圏領域に応用することにより、根圏ウイルスのゲノム情報を獲得し、その機能を解析する。 初年度は、微量なウイルスを対象とした1粒子ゲノム解析技術の原理実証を行った。シート状に広げたゲルマトリックス上にモデルウイルス(Lambda phage)を包埋した後、カプシド溶解液を添加した。次に、全ゲノム増幅試薬を添加することにより、ゲルマトリックス内でウイルスDNAの増幅が可能であることが確認された。これにより、当初想定していたシート状のゲルマトリックス内にウイルス粒子を捕捉し、ゲノム増幅を行う手法が実現可能であることが示された。 一方で、根圏土壌からのウイルス画分の回収方法を最適化することにより、ミリグラム単位の土壌からでも十分量のウイルス粒子の回収が可能となった。そのため、実際のウイルスゲノムの取得には、微小液滴を用いた1粒子ゲノム増幅手法を適用することとした。植物体の根表面に付着する微量な土壌からウイルス画分を回収し、1粒子ゲノム情報を取得した。ダイズの4つの成長段階で株を採取し、根表面に付着した土壌中のウイルス粒子を分画し、ゲノム情報の取得を行った。累計4000個以上のウイルス配列が獲得され、当初の想定を大きく上回る数の配列情報が取得された。さらに、ウイルス配列の保有遺伝子に基づくネットワーク解析の結果、植物の成長段階に伴って異なるウイルス叢が検出されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
根圏土壌からのウイルス画分の回収方法を最適化することにより、当初の想定を大きく上回る数のウイルス配列の獲得に至った。
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今後の研究の推進方策 |
経時的に取得した根圏ウイルスのゲノム配列を用いて、系統分類および保有する遺伝子の特定を行う。特に、宿主細菌の代謝系に影響を与える遺伝子として知られる補助代謝遺伝子の探索を行い、植物体の成長に伴って変動する根圏ウイルスの系統と機能を明らかにする。また、根圏ウイルスが感染する細菌の系統(宿主域)を推定することにより、根圏土壌におけるウイルスの動態を明らかにする。
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