研究課題/領域番号 |
23K13671
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
堀家 匠平 神戸大学, 環境保全推進センター, 准教授 (00809486)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / 錯体化学 / 電荷移動 |
研究実績の概要 |
ドーピングによってカーボンナノチューブ(CNT)の多数キャリアをホールや電子に制御することはデバイス応用上、不可欠である。一方、その長期安定性を担保することも重要である。CNTのドープ状態は、電荷を導入されイオン化したCNTと、ドーパント由来の共役イオンからなる錯体とみなされる。本研究課題では、この錯状態としての安定性を高めることを目的としている。特に、錯体安定性の指標となるHSAB則、さらにその定量的尺度となる化学硬度をもとに、安定性を支配する因子の解明を目指している。 今年度はp型CNTに注目し、アニオン種を異とする複数のプロトン酸をドーパントとしたホール注入を行い、導電率やゼーベック係数の高温下経時変化(耐熱性)を評価した。また、吸着アニオンの化学硬度を量子化学計算によって求め、耐熱性データと比較した結果、化学硬度の低い(HSAB則的に軟らかい)アニオン種を用いるほど高い安定性が得られることが明らかとなった。CNTに導入された電荷はπ共役を介して非局在化することから、軟らかいカチオンとみなされ、同じく軟らかいアニオンと安定な錯体を形成した結果と考えられる。また、安定性に乏しいドーパントを用いてホール注入した場合でも、その後、吸着アニオンを軟らかいアニオン種に置換するプロセスを適用することで、その後の安定性が劇的に向上することが明らかとなった。これらドーピングとイオン置換は、溶液にCNT膜を浸漬するだけで行うことができ、汎用性の高い手法と捉えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画調書に記載した目的を概ね達成し、論文掲載に至った。一方、「n型CNTの安定性における安定性因子」、「ラマン活性の変化」といった新たな課題も見出されたため、最終年度にて検証を進める。
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今後の研究の推進方策 |
「n型CNTの安定性における安定性因子」、「ラマン活性の変化」といった新たな課題も見出されたため、最終年度にて検証を進める。前者では、p型ドープ状態での検証例と同様、HSAB則に即した安定性の序列化を進める。後者については、ラマン活性の変化メカニズムの解明と、これがCNT輸送特性に対して与える影響を検証する。
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