研究課題/領域番号 |
23K13683
|
研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
鐵本 智大 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 主任研究員 (50894870)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | マイクロ光コム / 光周波数コム / 計測学 / 非線形光学 |
研究実績の概要 |
本研究では、超低ジッタの高繰り返しパルス発生のためにマイクロ光コムの位相雑音フロアの大幅な低減を目指しており、大きく「マイクロ光コムの高効率発生」「雑音評価に利用する超低雑音の参照光の発生」「マイクロ光コムの位相雑音評価」の3つを課題として掲げている。1つ目の「マイクロ光コムの高効率発生」については、結合共振器系を利用したコム発生効率の向上とそれによるコム光線の光信号雑音比の向上に取り組んでいる。令和5年度は、前年度に設計・発注したフォトニックチップ上の共振器・スポットサイズコンバータ等の素子の評価を行い、光損失や分散について想定していた仕様通りの性能が概ね得られている事を確認した(i.e., 共振器Q値百万以上、励起波長で群速度分散が異常、結合損失2dB以下等)。また、結合共振器系を利用した高効率コム発生実験に必要となるレンズドファイバアレイの調芯が可能な光入出力系の設計を行い、必要となる主な備品の調達を行った。2つ目の「雑音評価に利用する超低雑音の参照光の発生」については、雑音低減の原理とする誘導ブリルアン散乱発生用のブリルアン共振器を設計・作製した。調達した挟線幅レーザ等を利用して動作確認にも取り組んだが、想定よりもモードホップが顕著で動作が不安定だったため、環境パラメータの制御や注入同期等による発振の安定化に取り組んでいる。3つ目の「マイクロ光コムの位相雑音評価」については、測定に利用予定のUTCフォトダイオード等のテラヘルツ波帯の素子の動作確認を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは課題の実施順序は前後しているが、進捗率としては概ね予定通りに進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
3つの研究課題「マイクロ光コムの高効率発生」「雑音評価に利用する超低雑音の参照光の発生」「マイクロ光コムの位相雑音評価」のそれぞれについて下記事項に取り組み、全体の80~90%の進捗を目指したい。 1つ目の「マイクロ光コムの高効率発生」については、令和6年度中に高効率なコム発生を確認する事を目指す。2入力2出力用の調芯系の構築、共振周波数調整用の集積ヒータへの電圧印加用の系の構築、様々な設計の共振器でのコム発生と発生効率の評価が研究要素となる。2つ目の「雑音評価に利用する超低雑音の参照光の発生」は、令和5年度に引き続きファイバ共振器の液浸やストークス光の励起光源への注入等による発振の安定化に取り組む。発振の安定後に参照として十分な低雑音性を有しているか干渉計を用いた雑音評価を行う。3つ目の「マイクロ光コムの位相雑音評価」については、課題1,2の光源作製と並行して系を構築し動作確認を行う。令和6年度後半に課題1、2で得た光源を高速フォトダイオードで受光し、発生したテラヘルツ波の雑音比較を行いたい。 令和6年度中に必要となる各技術要素の構築を終え、全体の動作確認を行う。最終年度は実験パラメータや方法等の最適化による性能の最大化に取り組みたい。
|