研究課題/領域番号 |
23K13694
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
真鍋 征也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (40910005)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) / 中性子計測 / 熱中性子 |
研究実績の概要 |
本研究ではホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のために熱中性子束測定の高精度化を目指している。本年度は、実際のBNCT用中性子場における試験の前段階として、本研究で中性子測定手法として採用する金の放射化法で肝要な放射能測定に関してその不確かさに関する検討を行った。BNCT用中性子場における放射能測定は、放射化箔を施設から持ち出すことが容易ではないため、井戸型NaI(Tl)検出器を現地に持ち込み測定を行う計画である。予備試験として、産総研にある黒鉛パイルにおいて金箔(径20 mm、厚さ25 μm)に対する熱中性子照射を行い、放射化させた。放射化させた金箔に対して4πβ-γ同時計数装置にて放射能絶対測定を実施し、同金箔に対するNaI(Tl)検出器の計数率と絶対測定された放射能との比を導出することで検出効率を導出した。導出した検出効率を用いて別条件で照射を実施した金箔の測定を実施し、従来産総研の熱中性子国家標準で用いられてきた検出器での測定結果と比較することでその妥当性を検証した。また、その測定不確かさに関しても検討を行った。水中における中性子輸送モンテカルロシミュレーションの精度検証を行った。水ファントムとCf-252及び241^Am-Be線源を用いた体系を構築し、熱中性子検出器における反応率を導出した。シミュレーションにおいて同じ体系を再現し、複数の核データライブラリを用いた計算を行い、水中における測定結果の再現性を確認し、適当なライブラリの選択を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、予備試験の実施及びモンテカルロシミュレーションのベンチマークを行うことができたが、それらの検証や解析に想定以上に時間がかかってしまった。そのため測定体系の設計・作製は行うことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当初計画通り、測定体系の設計・作製を行い、中性子場での試験及びその解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は検出器の特性評価を実施できたが、その解析や結果の妥当性検証に多く時間を費やしてしまった。そのため測定体系の設計・製作に着手できず残額が生じた。次年度使用する金額は、本年度製作予定であった測定体系を構築するための治具や架台の製作に使用する予定である。
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