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2023 年度 実施状況報告書

分子ダイナミクスを導入した電極表面構造体の構築ならびにその触媒特性評価

研究課題

研究課題/領域番号 23K13721
研究機関九州大学

研究代表者

堂ノ下 将希  九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (30968160)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード分子ダイナミクス / 修飾電極 / 電気化学
研究実績の概要

分子骨格にフレキシビリティーを有する分子においては、外場に応答し構造変化を示す動的な振る舞いの発現が期待される。本研究では、このような動的分子を設計・合成し、電極上に固定することで、分子ダイナミクスに基づく特異な電気化学挙動、触媒挙動を示す修飾電極系を構築することを目的とする。
当該年度は、電位によりキラル/アキラル変換可能な修飾電極の構築を目指し、酸化還元に伴い分子構造の変化を示すπ拡張テトラチアフルバレン類縁体に着目した。この分子群は、中央の多環芳香族炭化水素骨格に2個のジチオール環が修飾された構造を有する。中性体は鞍型の構造を有するが、酸化により得られるジカチオン体はπ共役系の切断に起因して二平面型の構造を有する。構造に非対称性を有する多環芳香族炭化水素骨格および、異なる置換基を有する2種類のジチオール環を用いることで、中性体はキラル、ジカチオン体はアキラルになると予想される分子を設計し、これを合成した。しかしながら、得られた中性分子はキラルカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で光学分割することができなかった。これは、キラリティーの反転を伴う分子運動が高頻度で生じていることに由来すると考えられる。この知見を踏まえ、分子運動の抑制を期待し、より大きな立体障害を有する分子を設計し、合成に取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、電位によりキラル/アキラル変換可能な修飾電極の合成を目指し、新規に分子を設計・合成した。しかしながら、得られた分子は、キラルであると予想される中性状態において、キラルカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で光学分割することができなかった。これは、キラリティーの反転を伴う分子運動が高頻度で生じていることに起因すると考えられる。そこで、分子運動の抑制を期待し、立体障害を大きくした分子を設計し、合成に取り組んでいる。以上のように、研究遂行を通じて課題が発見されたが、これを踏まえて軌道修正ができている。ゆえに、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

これまでの研究遂行により得られた知見を踏まえて、新たな分子の合成を推進する。目的分子を合成した後には、溶液状態でサイクリックボルタンメトリによりレドックス特性を、円二色性(CD)スペクトルの測定等によりキラリティーの有無を評価する。続いて、目的分子を金属基板に固定化し、電極表面でのレドックス特性、キラリティー変化を評価する。

次年度使用額が生じた理由

当初見込んでいた国際学会の参加をキャンセルしたために、次年度使用額が生じた。2024年度に別の国際学会へ参加する際に使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Cooperative Proton and Li‐ion Conduction in a 2D‐Layered MOF via Mechanical Insertion of Lithium Halides2023

    • 著者名/発表者名
      Sarango‐Ramirez Marvin K.、Donoshita Masaki、Yoshida Yukihiro、Lim Dae‐Woon、Kitagawa Hiroshi
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 62 ページ: e202301284

    • DOI

      10.1002/anie.202301284

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Synthesis of an unsymmetrically substituted π-extended tetrathiafulvalene derivative and its immobilization onto a gold electrode2024

    • 著者名/発表者名
      Masaki Donoshita, Miho Yamauchi
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
  • [学会発表] Synthesis of a cobalt dinuclear complex (Co2L2)(NO3)2(HL=3,5-bis(2’-pyridyl)pyrazole) and its catalytic property for electrochemical CO2 reduction2024

    • 著者名/発表者名
      Yunyi Pan, Masaki Donoshita, Miho Yamauchi
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
  • [学会発表] デラフォサイト型Cu酸化物の電気化学的二酸化炭素還元特性2024

    • 著者名/発表者名
      松鵜恭弘、安齊亮彦、堂ノ下将希、小林浩和、山内美穂
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
  • [学会発表] Constructing an Au electrode modified with an unsymmetrically substituted π-extended TTF derivative2023

    • 著者名/発表者名
      Masaki Donoshita
    • 学会等名
      The 9th Asian Conference on Coordination Chemistry (ACCC9)
    • 国際学会
  • [図書] Design of Crystal Structures Using Hydrogen Bonds on Molecular-Layered Cocrystals and Proton-Electron Mixed Conductor2024

    • 著者名/発表者名
      Masaki Donoshita
    • 総ページ数
      79
    • 出版者
      Springer Nature Singapore Pte Ltd.
    • ISBN
      978-981-99-7062-9

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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