研究課題/領域番号 |
23K13802
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
青木 大亮 東京理科大学, 創域理工学部先端化学科, 助教 (60909331)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グラフトポリマー / イオン相互作用 / プラスチック / 力学特性 |
研究実績の概要 |
本年度は、ノルボルネンジカルボン酸無水物を出発物質として、様々な構造パラメータ(側鎖長、側鎖密度、イオンサイズ、イオン導入率)によりイオン性グラフトポリマーを合成し、その力学特性との相関を調査した。その結果、各モノマーにカルボン酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテル側鎖をもつグラフトポリマーと様々アルキル鎖長のアルキルアンモニウムを組み合わせたところ、特異な力学特性が発現した。アルキルアンモニウム対イオンのイオンサイズに応じて力学特性が非線形に変化し、特定のイオンサイズで未修飾ホモポリマーに対して230倍、中和前のカルボン酸グラフトポリマーに対して2倍ものタフネスを達成した。具体的には、トリヘプチルアミンを対イオンとした場合のみ破断強度とタフネスが大きく向上し、ヘキシルより小さなサイズでは力学特性に大きな変化は見られなかった。この効果は、テトラアルキルアンモニウムカウンターイオンでは見られず、トリアルキルアミン特有の現象であることが示された。さらに、イオン導入率に対しても力学特性が非線形に変化する現象が見られ、特異なタフ化メカニズムの存在が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、イオン性グラフトポリマーの構造パラメータ(側鎖長、側鎖密度、イオンサイズ、イオン導入率)を制御することで、破断強度とタフネスを両立した力学特性の実現を目標としていた。それぞれの構造パラメーターの検討した結果、イオンサイズとイオン導入率に対して非線形に力学特性が変化する特異な現象を発見した。さらに、目標としていた力学特性にも到達していることから、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、イオン性櫛型ポリマーにおける特異なタフ化現象を見出した。次年度では、当初の予定通りナノ構造に焦点を当てて、タフ化のメカニズムを調査する予定である。
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