脱炭素社会におけるエネルギー源候補である水素の製造法として、水電解が注目されている。固体高分子形水電解においては酸化イリジウムが唯一の実用アノード触媒であるが、その使用量削減が課題となっている。その解決を目指し、本研究では熱力学的な安定相から脱却し、準安定相を基軸としたアノード触媒材料の開発を行う。 本研究では熱力学的に準安定な結晶相を用いた水電解用新規アノード電極触媒の開発を目的とする。そのために、これまで開発・高度化してきた合成法と計測手法を駆使し、準安定相を有するアノード材料の最適化を図る。本研究は平衡相を主軸に開発されてきた水電解触媒について新たな分野を提供でき、これまで課題であった大幅なイリジウム削減を実現するための基盤となりうる。 本年度の計画として、現状では、最大で単斜晶が35%の触媒しか合成できておらず、高純度化により更なる高活性化が期待できる。そこで、現状の触媒合成方法の見直しと最適化を図る。準安定相は、イリジウム金属ナノ粒子の熱的酸化により合成しているが、熱履歴ならびに酸素分圧を最適化することで純度100%の単斜晶を合成することを目標とする。純度は、既に開発したPDF解析によって明らかにすることができ、熱履歴・酸素分圧と純度の関係を整理することで、合成法を確立する。 これまでの研究成果を踏まえ、現状の触媒合成方法の見直しと最適化を図った。準安定相は、イリジウム金属ナノ粒子の熱的酸化により合成しているが、熱履歴ならびに酸素分圧を最適化した。
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