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2023 年度 実施状況報告書

金属有機構造体を正極材料としたカルシウムイオン電池の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K13830
研究機関米子工業高等専門学校

研究代表者

清水 剛志  米子工業高等専門学校, 総合工学科, 特命助教 (50845386)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワードカルシウムイオン電池 / 固体内拡散 / 金属有機構造体
研究実績の概要

今年度では、カルシウムイオン電池(CIB)の容量が正極活物質に組み込まれたアニオンの種類と相関があることが示唆された。従来のCIBでは、Ca2+が酸化物系正極活物質のアニオンO2-と静電的相互作用を示すため、Ca2+の固体内拡散が非常に遅く、理論値の半分程度の容量しか得られなかった。これを踏まえ、本研究では一価のアニオン(X=NH-, O-, S-)からなる二次元構造の金属有機構造体Cu3(HXTP)2を正極活物質とし、Ca2+の固体内拡散を改善することでCIBの容量改善を行った。Cu3(HOTP)2は、初期容量250 mAh g-1を示したが、充放電を繰り返すと100サイクル目で100 mAh g-1程度まで減少した。また、Cu3(HNTP)2とCu3(HSTP)2も同様の結果が得られた。この充放電機構を解明するため、充放電後のCu3(HOTP)2正極を用いて、Cuイオン価数の変化を観測したところ、放電過程でCu2+からCu+へ還元されたが、充電過程ではCuイオンの価数はCu+に戻っていなかった。さらに、Cu3(HOTP)2正極の粉末X線開設測定によれば、放電過程で格子間距離が狭くなることがわかった。これは、電気化学的にCa2+が2次元構造のCu3(HOTP)2へ挿入されてCIBとして機能したが、挿入されたCa2+は、Cu3(HOTP)2との静電引力によって脱離しにくくなったことを示唆している。したがって、初期状態では十分広い空間でのCa2+の固体内拡散によって高容量を得られたが、サイクルを増すごとにCa2+が狭い空間を拡散しなければならなくなり、容量がしだいに小さくなったと解釈した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度では、3種の配位子を用いたCu3(HXTP)2(X=NH, O, S)を正極活物質としたカルシウムイオン電池(CIB)の充放電測定および反応機構解明までを計画していた。上記で述べたように、Cu3(HXTP)2を正極活物質としたCIBの特性評価とCu3(HOTP)2の充放電機構解明に基づき、挿入されたCa2+とCu3(HXTP)2との静電引力による結晶格子の縮小によってCu3(HXTP)2の容量が次第に減少することを示唆する結果が得られている。今後は、再現性の確認およびCu3(HNTP)2とCu3(HSTP)2についても同様の機構解明を行うとともに、第一原理計算でCa2+の拡散障壁エネルギーを比較することで、容量減少の要因を結晶格子の縮小と結論付けられると考えている。

今後の研究の推進方策

今後はCu3(HXTP)2を構成するアニオンの種類と電池特性の相関を得ることであり、Cu3(HNTP)2とCu3(HSTP)2正極を用いたX線吸収微細構造と粉末X線回折に基づいた機構解明と第一原理計算でCa2+の拡散障壁エネルギーを行う。さらに、Cu3(HXTP)2を正極活物質としたCIBを用いた定電流間欠滴定法によってCa2+の拡散係数を算出することで、Cu3(HXTP)2の格子の縮小率とCa2+の拡散係数の相関を得ることで、より詳細にアニオンの種類とCa2+の固体内拡散との相関を得る。

次年度使用額が生じた理由

購入予定の装置が値上がりしており、現在まで購入を見送り、別研究室の機器を一時的に借りていたため、未使用のままであった。次年度では数百万の残額で、予定していた装置またはその代替品を購入予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 二次元層状構造金属有機構造体の蓄電特性2024

    • 著者名/発表者名
      大方 俊佑1・若松 勝洋2・小柳 友貴1・清水 剛志3・吉川 浩史2 (関西学院大学大学院理工学研究科1・関西学院大学工学部2・米子工業高等専門学校総合工学科3)○
    • 学会等名
      日本化学会 第104春季年会(2004)

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公開日: 2024-12-25  

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