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2023 年度 実施状況報告書

経粘膜送達のための新規フッ素化合物の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 23K13852
研究機関東京工業大学

研究代表者

木幡 愛  東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (30851852)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワードフッ素化学 / ドラッグデリバリー / 細胞膜透過
研究実績の概要

高度にフッ素化されたペルフルオロ化合物は、表面エネルギーが小さく、有機相とも水相とも混じり合わずに第三相を形成するということが有機化学・物理化学の分野で知られて いる。そのため脂質二重膜や糖鎖をはじめとする生体高分子と親和性が低いと考えられており、高度にフッ素化された化合物は無毒性の細胞膜透過能を有するリガンドとして、近年DDS開発が進められている。本研究課題では、粘膜組織への薬物送達においてペルフルオロ化合物は有効であるのか、 どのような分子デザインが粘液層の浸透に適しているのか、という点を明らかにする。
今年度は高度にフッ素化リガンド分子の構造最適化を行なうため、比較的実験が容易な癌細胞を用いて細胞内送達実験を行なった。ペルフルオロアルキル基やペルフルオロエーテル基を有する蛍光分子を種々合成し、それらの細胞送達内効率を共焦点顕微鏡ならびにフローサイトメトリーによって調査した。膜浸透性の高い分子設計のためには、分子の水溶液中での凝集を防ぎフッ素分子が細胞膜界面へと露出する様な構造が一番重要であることがわかった。また、エネルギー依存的なエンドサイトーシスを介さない経路で、すみやかに細胞質へ到達していることが示唆された。高度にフッ素化された分子は人工リン脂質膜表面の水和層を破壊し、細胞膜への透過能を高めていることがラマン分光法およびリポソームの融合実験から明らかとなった。以上の知見をもとに既知の抗がん剤の送達に挑戦したところ、抗がん剤の細胞死誘導率を高めることに成功した。
本研究成果について特許を出願し、現在論文投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

粘膜組織への薬物送達の調査にあたり、まずは癌細胞への膜透過能をさまざまな形状のペルフルオロアルキル基やペルフルオロエーテル基を有する化合物を用いて調査した。
その結果、環状ペルフルオロエーテル構造が目的を達成するために非常に有力であることがわかった。

今後の研究の推進方策

今回得られた水溶性の高い環状ペルフルオロエーテル構造を用いて、19F-MRIプローブへの応用を目指し、ファントム画像の取得および in vivo体内動態試験を行う。in vitroにおける実験では粘膜細胞など種々の組織の細胞を購入し、さまざまな細胞腫への取り込み能を調査する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は適切な化合物の選定に費用を費やしたため、比較的少額な合成試薬の購入などに研究費を充てた。次年度はよりバイオロジカルな細胞・マウスを用いた実験が多くなるため支出が多額になることが見込まれる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] フッ素化リガンド修飾 DNA の細胞内送達2023

    • 著者名/発表者名
      木幡 愛, 成田美菜子, 影山泰一, 渡邉ほの香, 相川光介, 森廣邦彦, 岡本晃充, 岡添隆
    • 学会等名
      第33回 バイオ・高分子シンポジウム
  • [学会発表] フッ素化リガンド修飾 DNA の細胞内送達2023

    • 著者名/発表者名
      木幡 愛, 成田美菜子, 影山泰一, 渡邉ほの香, 相川光介, 森廣邦彦, 岡本晃充, 岡添隆
    • 学会等名
      第46回 フッ素化学討論会
  • [産業財産権] 含フッ素化合物2024

    • 発明者名
      太田有羽, 岡添隆, 相田卓三, ゴスワミ・アビール, 木幡 愛
    • 権利者名
      太田有羽, 岡添隆, 相田卓三, ゴスワミ・アビール, 木幡 愛
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2024-072312

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公開日: 2024-12-25  

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