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2023 年度 実施状況報告書

新規エイコサノイドhemiketal E2によるタンパク質修飾を介した血管新生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K13881
研究機関名古屋大学

研究代表者

中島 史恵  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (60961612)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワード5-リポキシゲナーゼ / シクロオキシゲナーゼ-2 / 生理活性脂質 / エイコサノイド / タンパク質修飾 / システイン
研究実績の概要

Hemiketal E2 (HKE2) は機能未知のアラキドン酸由来生理活性脂質であり、これまでに研究者は、HKE2がヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC) においてvascular endothelial growth factor receptor 2 (VEGFR2) のリン酸化を介して血管新生を誘導することを明らかにしてきた。HKE2によるHUVECにおけるVEGFR2のリン酸化を介した血管新生誘導メカニズムを明らかにするため、種々の阻害剤を用いた検討を行った。検討の結果、HKE2はVEGFR2 の脱リン酸化に関わるタンパク質であるprotein tyrosine phosphatase 1B (PTP1B) の活性の阻害を介して作用している可能性が示唆された。これまでの検討により、HKE2は構造中にα,β不飽和カルボニルを有し、遊離のチオール基と反応することを確認していることから、HKE2はPTP1Bの活性中心に存在するチオール基を含むシステイン残基に共有結合的に修飾することでPTP1Bのホスファターゼ活性に影響を与えていると予想した。HKE2によるPTP1Bのシステイン残基の修飾を評価するため、遊離のチオールとの反応性を有するマレイミドを用いて評価した結果、HKE2はその濃度依存的にPTP1Bの遊離のチオール基を修飾することが明らかとなった。p-ニトロフェニルリン酸を基質として用いた比色法によりPTP1Bのホスファターゼ活性を評価した結果、HKE2の濃度依存的にPTP1Bの活性が阻害されていることが明らかとなった。
さらに、HUVECに対し、VEGFR2の既知のリガンドであるVEGFをHKE2と共投与した結果、VEGFR2の相乗的なリン酸化が確認された。PTP1Bの阻害剤であるTCS401をVEGFと共投与した場合も、VEGFR2の相乗的なリン酸化が確認されたことから、HKE2がPTP1Bの活性阻害を介してVEGFR2のリン酸化を誘導している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HKE2の検出方法については現在立ち上げ途中であるが、HKE2修飾がタンパク質の活性および血管新生へ与える影響を解析した。HKE2は、タンパク質の脱リン酸化を担う酵素であるPTP1Bのシステイン残基を修飾し、これによりホスファターゼ活性が減弱することを明らかにした。さらに、HKE2修飾によりPTP1Bのホスファターゼ活性が低下することで、VEGFR2のリン酸化が亢進する可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

HKE2を処理したHUVECのライセートを質量分析に供し、HKE2修飾を受けるPTP1Bのシステイン残基の修飾部位を同定する。また、HKE2修飾を受けるタンパク質の解析・同定を通して、HKE2が血管新生に与える影響を明らかにする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] アラキドン酸由 来生理活性脂質HKE2 の血管新生活性2023

    • 著者名/発表者名
      中島史恵, Luis Paula, Presley SaiHan, 柴田貴広, Pozzi Ambra, Schneider Claus
    • 学会等名
      第96 回日本生化学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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