研究課題/領域番号 |
23K13919
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
二橋 佑磨 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (80964212)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脳腸相関 / 培養デバイス / 動物実験代替法 |
研究実績の概要 |
昨今の動物愛護の高まりから、食品製造に関連する多くの企業が動物実験の廃止を宣言しており、脳腸相関を再現する新たな動物実験代替法が希求されている。この観点から、迷走神経求心路を介した脳への入力と脳から迷走神経遠心路を介して身体生理に及ぼす影響・効果を評価可能なヒト脳腸軸オンチップモデルの開発が必要と考える。また、神経接続に限らず、液性因子を介した臓器連関を可視化するための培養システムの開発が必要と考える。本年度は、液性因子の相互作用による多臓器間ネットワークを生体外で再現するために、脳-腸-肝-免疫システムを共培養可能なデバイスを開発した。オミクス解析により、腸管で惹起された炎症シグナルが、肝臓、脳へと液性因子を介して伝達されることを明らかにし、デバイスに必要な機能が備わっていることを確認した。これに加えて本年度は疾患モデルの構築にも取り組んだ。コラーゲンゲルを利用した3D共培養法で膵がんモデルを作製し、バイオインフォマティクスを駆使したマルチオミクス解析(トランスクリプトーム及びメタボローム解析)を行い、膵がんの新規マーカーを同定した。これらの技術開発は、複数臓器の生体模倣システムの要素技術として期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、おおむね順調に進展していると考える。本年度は液性因子を介した臓器連関を可視化するための培養システムの開発した。オミクス解析により、腸管で惹起された炎症シグナルが、肝臓、脳へと液性因子を介して伝達されることを明らかにし、デバイスに必要な機能が備わっていることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
迷走神経求心路を介した脳への入力と脳から迷走神経遠心路を介して身体生理に及ぼす影響・効果を評価可能なヒト脳腸軸オンチップモデルについて、設計が完了している。いくつかの培養パターンを網羅できるように条件を組み、安定した培養系を作製し、実験に臨みたい。
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