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2023 年度 実施状況報告書

永年性植物の体細胞突然変異体のキメラ性の新規評価法および変異領域の特定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K13947
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

間瀬 誠子  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (10355365)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワードキメラ / 放射線突然変異 / 次世代シーケンサー
研究実績の概要

本研究は、果樹や林木などの永年性作物の体細胞突然変異体(枝変わり)において発生することが多い、原品種と突然変異細胞が混在するキメラ状変異の有無を迅速に評価することを目的としている。同一品種において単一の形質が変化した、別々の芽を由来とする複数の変異系統について次世代DNAシーケンス(NGS)解析を行い、変異系統の配列を大量に取得し、複数の系統に共通して変異が生じたゲノム領域をスクリーニングすることにより、後代集団の作成を要さずに、形質変異の原因遺伝子の存在する領域を特定する手法の開発を目指す。
品質に優れるが長大なトゲを持つカンキツ品種「せとか」に対し、放射線育種場においてガンマ線急照射によって誘発された短刺化変異体23系統から、トゲ長が短い系統とやや短い系統計11個体を選抜し、短刺化変異体から分離したトゲが長い系統1個体、および原品種(無照射)2個体とともに次世代シーケンサーを用いた全ゲノム解析を行い、1サンプル当たり15Gb以上のデータを取得した。「クレメンティン」半数体の全ゲノム塩基配列に対するアラインメントとマッピングを行った結果、リファレンス配列へのカバー率は約93%、平均カバレッジ深度は約50倍であった。当初予定ではリファレンス配列の約100倍のカバレッジを取得し、変異体のキメラ性の判定を先に行うとしていたが、先に複数の変異系統間で共通する配列の変異が検出された領域を短刺化変異関連領域として絞り込みを行うことし、解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

カンキツ葉サンプルから高純度で損傷が少ないゲノムDNAを抽出するための抽出キットの製造が一時中止となり、調達が遅延したことにより実験開始が遅れた。その間は、「せとか」変異体の短刺化変異関連領域の絞り込みと、次年度に実施予定のRT-PCRに用いるプライマー設計のため、カンキツおよび近縁種における既知のトゲ関連遺伝子またはQTLについての情報の収集に取り組んだ。
NGSデータの取得は遅れたが、過去のカンキツの突然変異系統の解析報告から、短刺変異系統間で共通する配列の変異が検出された領域を絞り込むために必要なデータ量は獲得できたと考えられるため、解析を進めている。

今後の研究の推進方策

長刺と短刺の枝が混在するキメラ状変異系統について、それぞれの特徴を示す部位から採取したDNAの混合サンプルを用いて、キメラ状変異の検出が可能な統計処理方法の検討を行う。前年度に得られた配列情報を用いて、引き続き複数の変異系統間で共通する配列の変異が検出された領域を短刺化変異関連領域として絞り込みを行う。
カンキツ近縁種等でトゲの長さに関するQTLの存在が報告されている領域、短刺化への関与が推定されている遺伝子の座状位置との関連を調査する。また、短刺系統に共通する変異配列について、リアルタイムPCRによる変異体と原品種の配列の増幅量との比較を行い、リシーケンス解析で取得したリードの割合との相関を調査する。さらに、トゲ形質の表現型と、短刺化変異関連領域に存在する遺伝子の発現量の違いを解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は「せとか」の短刺変異系統の安定性の確認のための形質調査等を行う実験補助者を雇用しなかったため、人件費を支出しなかった。次年度はRNA抽出等を行う実験補助者を雇用する。解析委託費が予算額を下回ったために生じた残額は、次年度に解析サンプルを限定し、カバレッジの増加がキメラ状変異の検出性に与える影響について検討するために用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] カンキツ‘せとか’のとげの短い変異体の選抜2024

    • 著者名/発表者名
      山ノ内宏昭,土師岳,間瀬誠子
    • 学会等名
      園芸学会令和6年度春季大会

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公開日: 2024-12-25  

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