研究課題/領域番号 |
23K13950
|
研究機関 | 島根県農業技術センター |
研究代表者 |
大畑 和也 島根県農業技術センター, 栽培研究部, 専門研究員 (80512574)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | カキわい性台木 / 緑枝挿し / 発根 / 新梢色 |
研究実績の概要 |
カキ「豊楽台」は「西条」などでわい化が確認され、高生産性で低樹高・省力栽培が可能なわい性台木である。また、緑枝挿しが可能であるためクローン繁殖が可能である。しかし、新梢の充実程度、採穂時期や挿し穂調整部位などによって緑枝挿し後の発根率が異なる。そこで、本研究ではカキわい性台木「豊楽台」の緑枝挿しにおける繁殖効率を高めて大量増殖を可能にするため、緑枝挿しに最適な挿し穂条件を明らかにするとともに、発根メカニズムに関する基礎的知見を獲得することを目的としている。 「豊楽台」の新梢生育特性を調査した結果、新梢の伸長停止時期は5月下旬から6月下旬であり、新梢長によって異なることが明らかとなった。新梢長が短いほど伸長は早く停止し、葉色も早くから濃くなった。また、新梢色はa*値の変化が最も大きく、新梢採取の指標となる可能性が示された。 「豊楽台」の新梢を7月に採取し、調整した挿し穂と発根の関係を調査した結果、新梢長とそこから調整した挿し穂における発根の有無に一定の関係は認められなかった。発根する挿し穂を獲得した新梢基部はやや濃い茶色であり、色見本で示すことができると考えられた。また、発根した挿し穂では未発根の挿し穂と比較して葉が厚く、挿し穂基部の色が濃い特徴があり、新梢基部と同様に色覚化できることが示唆された。そして、葉及び茎部の乾物率は発根した挿し穂で低くなった。しかし、発根した挿し穂数が少なく、内容成分の分析をするまでには至らなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新梢の生長特性及び発根しやすい挿し穂の特性は概ね明らかとなったが、夏季の高温が原因と考えられる緑枝挿し後の落葉個体数増加と発根率の低下により、各種分析に供試する試料数が少なくなったため、枝梢内の成分と発根との関係を検討することができなかった。発根率の低下対策として、ミスト施設の遮光および湿度保持環境を最適化し、未落葉率及び発根率を高める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、まず、「豊楽台」の母樹において、緑枝挿しに適した新梢の発生部位を明らかにする。次にミスト施設の環境改善と増設を行うことで、緑枝挿し後の発根率を高めるととともに時期別緑枝挿し本数を増やし、枝梢内成分の変化、発根関連遺伝子発現の解析を効率的に進める。また、採取に適した新梢色は前年に測定した色差計値を基に色見本を用いてカラーチャートを試作し、その実用性を検討する。なお、遺伝子発現解析用プライマーの作成は早急に進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
内容成分分析及び遺伝子解析の準備が十分に進まなかったためである。次年度は成分分析及び遺伝子発現解析を確実に行うため、使用額を繰り越すこととした。
|