研究課題/領域番号 |
23K13986
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
設樂 拓人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (40868329)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 気候変動 / 森林 / 植生 / 種組成 / 分布予測モデル / 日本列島 / 標徴種 / 植物社会学 |
研究実績の概要 |
本研究は、特定の植物群落にのみ出現する植物の種類「標徴種」とその組み合わせ(種組成)に焦点を当て、気候変動に伴い日本の森林群集の地理的分布と種組成がどのように変化するのかを解明することを目的とする。本研究課題を達成することで、気候変動がもたらす森林植生への影響を評価し、日本の生物多様性や自然生態系の保全に資する基盤情報を提供することを目指す。本年度は以下の研究を行った。 本年度は、地理情報システム(GIS)を用いて、環境省自然環境局の2万5千分の1植生図および5万分の1植生図(https://www.biodic.go.jp/kiso/vg/vg_kiso.html)から分布予測モデルの解析に必要な日本の自然植生を代表する13タイプの森林群集の植生分布データを収集し、解析可能な形式に変換した。また、気候データをCHELSA(https://chelsa-climate.org/)から空間解像度1kmでダウンロードし、整備を行った。 さらに、日本の本州中部山岳と北海道東部に隔離分布するヤエガワカンバーミズナラ林の種組成の特徴を明らかにするために、北東アジア大陸部(ロシア沿海州、朝鮮半島中・北部)の夏緑広葉樹林と比較した。その結果、日本のヤエガワカンバーミズナラ林は他の地域のミズナラ林よりも共通種が多いことが明らかになった。また、ヤエガワカンバーミズナラ林は乾燥寒冷な気候下の山火事後や人為伐採跡地に成立している条件が類似しており、日本の森林植生の変遷を考える上で重要な植生であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の研究計画の予定通り、1年目の計画はすべて実行した。森林群集と標徴種の分布予測モデルについては現在、分布予測モデルの結果について解析結果をまとめ、執筆作業を進めている。また、十和田・八甲田地域における80年間の植生図比較、北東アジアのヤエガワカンバー落葉性ナラ林の種組成比較について学術論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
森林群集と標徴種の分布予測モデルの比較を行い、森林群集の分布と種組成の変化について取りまとめ、論文として公表を行う。他の森林群集や標徴種についても解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた人件費を物品購入費に変更したため、使用額に変更が生じた。使用計画としては、書籍の購入に当てる。
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