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2023 年度 実施状況報告書

魚類の雑種化は配偶子形成にどのような影響を及ぼすのか?外来ドジョウ問題から解く

研究課題

研究課題/領域番号 23K14011
研究機関東京農業大学

研究代表者

黒田 真道  東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (70880764)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード魚類 / 交雑 / 外来種 / ドジョウ / DNAマーカー / 減数分裂 / FISH / 特殊な配偶子形成
研究実績の概要

外来B2ドジョウ識別DNAマーカー開発: 中国原産と考えられている外来のB2系統ドジョウのゲノムDNAから反復配列を単離した。単離した複数の反復配列の中から、在来ドジョウから単離された既報の反復配列と比較し、最も特異性の高い反復配列を決定した。反復配列領域を増幅するプライマーを設計しPCRを行った結果、B2系統ドジョウで明瞭なスメアー状のPCR増幅が確認された。一方で、在来ドジョウ(A系統、B1系統)や近縁種カラドジョウではPCR増幅は確認されなかった。これまでは複数の核DNAマーカーを併用してB2系統ドジョウの判定を行っていたが、本研究で開発したDNAマーカーを使用することで簡便かつ正確にB2系統ドジョウを検出できる可能性が強く示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上述のように、本研究を遂行する上で非常に重要である外来B2系統ドジョウを識別する反復配列DNAマーカーの開発に成功した。さらに、本研究で開発したDNAマーカーと既存のDNAマーカーを併用して長野県産のドジョウ類の解析を行ったところ、一部の調査地点では在来ドジョウは確認されず、外来のB2系統とカラドジョウが同所的に生息していることを明らかにした。さらに、外来ドジョウ間雑種(B2系統ドジョウ×カラドジョウ)の存在も確認された。従って、一部の地域ではすでに外来ドジョウの分布範囲が広がっており、在来ドジョウの生息場所を奪っている可能性がある。

今後の研究の推進方策

1. 外来ドジョウと雑種ドジョウの分布調査:今後は長野県の未調査地点において外来ドジョウおよび雑種の分布調査を実施する。さらに、外来ドジョウの侵入がすでに報告されている愛媛県においても解析を進める。
2. ドジョウ雑種の配偶子形成機構の解明、受精実験による雑種の妊性調査:現在、人工授精で作出したドジョウ雑種(在来×外来)を飼育中である。一部の個体から精巣または卵巣を摘出し、減数分裂中の染色体挙動を観察する。魚類の雑種では、二倍性配偶子形成など特殊な配偶子形成が生じることがあるため、ドジョウ雑種(在来×外来)においても特殊な配偶子形成の有無を検証する。また、雑種から採卵・採精を試み、A系統やB1系統など1n配偶子を形成する個体を用いて人工授精を行い、子孫の生存性の有無から雑種が形成する配偶子の受精能力(子孫を残す能力)を調査する。

次年度使用額が生じた理由

旅費として使用予定だったが、調査予定地で採集されたサンプルの提供があり使用することが無くなったため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Development of a repetitive DNA marker for identification of the exotic large-scale loach introduced to Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Kuroda Masamichi、Azuma Noriko、Fujimoto Takafumi、Arai Katsutoshi
    • 雑誌名

      Fisheries Science

      巻: 90 ページ: 53~64

    • DOI

      10.1007/s12562-023-01731-4

    • 査読あり
  • [学会発表] サテライトDNAを用いたカラドジョウ判別DNAマーカーの開発2023

    • 著者名/発表者名
      黒田真道・東典子・藤本貴史・荒井克俊
    • 学会等名
      令和5年度日本水産学会春季大会

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公開日: 2024-12-25  

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