研究課題/領域番号 |
23K14025
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
鈴木 博史 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), 任期付研究員 (40909636)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ニホンウナギ / 生殖腺刺激ホルモン / タウリン |
研究実績の概要 |
ニホンウナギの卵成熟誘導前後の卵濾胞において、タウリンの合成と輸送に関わる遺伝子の発現量が増加した。タウリンは、卵質を向上させる含硫アミノ酸様化合物であると考えられているものの、卵巣における合成制御機構は分かっていない。そこで本研究は、卵巣における組換え濾胞刺激ホルモン(組換えFsh)と組換え黄体形成ホルモン(組換えLh)によるタウリン合成制御機構を明らかにするため、まず、タウリン合成と輸送に関る遺伝子を単離した。続いて、卵濾胞を短期培養することで、各遺伝子の発現に及ぼす組換えFshと組換えLhの影響を明らかにした。 タウリンの合成と輸送に関る遺伝子として、システインジオキシゲナーゼ(Cdo)、システアミンジオキシゲナーゼ(Ado-aとAdo-b)、システインスルフィン酸デカルボキシラーゼ(Csad)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ様タンパク質1(Gadl1)、タウリントランスポーター(Taut)とGABAトランスポーター2(Gat2)をコードする遺伝子を単離した。得られた配列を用いて分子系統解析を行った結果、それぞれ他の脊椎動物で単離されているものと同一のクラスターを形成したことから、ニホンウナギcdo、ado-a、ado-b、csad、gadl1、tautおよびgat2であると考えられた。 次に、核移動期に達した卵母細胞を有する個体の卵巣から卵濾胞を単離し、組換えFshと組換えLhを添加した培養液で、卵濾胞を培養した。培養後、卵濾胞を回収し、RNA抽出、逆転写を行い、cDNAを得た。このcDNAを用いて、各遺伝子をqPCRで測定した結果、組換えLh添加群において、cdoとtaut遺伝子のみ、発現量の有意な増加が認められた。以上の結果、核移動期の卵濾胞におけるcdoとtaut遺伝子発現は、組換えLhの影響を受けることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに実施できたことから、自己評価を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣におけるCdoとTautの発現場所の特定のため、抗体作製を試みる。また、卵成熟誘導処理によって、血中と卵濾胞中のタウリン量が変化するのか明らかにする。加えて、卵巣培養系にて、システインからタウリンが合成されるのか明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の消耗品が予定より安く購入できたため、差額が生じた。次年度、必要な消耗品の購入にあてる。
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