研究課題/領域番号 |
23K14046
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横山 岳 九州大学, 農学研究院, 助教 (80962472)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 分光反射率 / 光合成能力 / 葉温 / リモートセンシング |
研究実績の概要 |
近年,分光分布情報から植物情報(光合成能力,水分状態 etc.)の推定を試みる研究が盛んに行われている.しかし,分光法は,分光分布情報と植物情報の実測値の関係から構築した統計モデル(ブラックボックスモデル)を用いて植物情報を推定するため,既往の研究の多くは,分光分布情報から任意の植物情報を推定できるかどうかを目的としている.一方で本研究では,独自の計測システムを用いて様々な条件の葉の分光分布情報を計測し,分光分布情報を網羅的に解析することで,分光分布情報がどのような植物の生理プロセスを反映しているかといった現象の理解に挑む点.具体的には,分光法による光合成能力の推定において,「なぜ?光合成能力の温度依存性まで含めて推定できるのか?」という点を明らかにすることを目的とする. 当該年度においては,まず光合成能力・葉温・分光反射率を同時測定可能な装置の開発に取り組んだ.その結果,近赤外域を計測するために用いた光源の強度が非常に強いため照射部の葉が変色してしまうという課題が生じた.照射光源を葉から遠ざけることで葉の変色は防ぐことが可能であるが,光源の距離が遠すぎた場合,分光反射率の計測精度が低下するという課題がある.そこで,葉を変色させないが測定精度も維持できる最適な葉と光源の距離を探索し決定した.加えて,様々な葉温において分光反射率を計測し,主成分分析により葉温の変化と分光反射率の変化の関係を調べたところ,葉温の変化に伴って特定の波長域の反射率が変化することが明らかとなった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度においては,分光反射率を計測する際に照射光源と葉の距離が近すぎた場合,葉が熱の影響で変色するという課題が生じた.そのため,光源と葉の距離を最適化することに時間を要した.特に市販の分光計測装置や光源は,簡単には改良できないため,3Dプリンタなどを使用し,自作の積分球などを作成するなどの工夫に時間を費やした.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,光合成測定装置に分光反射率の計測するプローブと光源を固定可能なシステムを3Dプリンタにより作成し,引き続き光合成能力・葉温・分光反射率を同時測定可能な装置の開発に取り組む.その後,様々な温度条件において光合成能力と分光反射率の関係を解析する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究においては,3Dプリンタを使用して装置の開発を行った.当初の想定よりも3Dプリンタの材料の消費が少なかったため次年度使用額が生じた.また,当初の想定よりも研究の進捗が遅れているため,当初の予定より執行額が少なかった.
|