研究実績の概要 |
回腸パイエル板は出生時に最大の免疫臓器である。また、哺乳期間の前期・中期・後期および離乳後で、回腸パイエル板を構成している免疫細胞が大きく変化していると考えられる。そのため今年度は、シングルセルレベルでの解析を行うことで、哺乳期間から離乳後までの回腸パイエル板を構成する細胞の特徴を明らかにすることを目的とした。 1週齢、2週齢、3週齢、5週齢のブタから回腸パイエル板を採材し、細胞単離を行った。回腸パイエル板から単離した細胞を、Chromium Controller(10x Genomics社)に供することで、一つ一つの細胞を識別するゲルビーズとPCR酵素が入ったエマルジョンを調整した。その後、調整したエマルジョンをインキュベーションし、反応後、精製した。さらに、cDNAを増幅した。加えて、得られたcDNAを最適なサイズに断片化し、A-tailingや各サンプルを識別するIndex配列を付加させ、反応後のcDNA libraryをHiSeq 2500 (illumina)を用いたシーケンシングに供した。 シーケンス後、Cell Rangerを用いてデータをFASTQ形式に変換し、マッピング、フィラリング、細胞ごとのバーコードのカウント、UMIのカウントを行った。また、レファレンスゲノムにはEnsenblから取得したSus scrofa 11.1を用いた。データ解析にはSeurat 4.3.0.1を使用し、データセットの上位2,000個の変動性の高い遺伝子を用いて主成分分析を行い、上位20個のPCを使用して次元削減を行った後、UMAPを用いて可視化した。
今年得られた結果として、CD79A、CD79B、JCHAIN、IRF4、EBF1、BIRC5、GRP183、 PAX5、CD74、TNFRSF13Cが各時期でのB細胞を特徴づけるマーカーとなるといえた。
|