研究実績の概要 |
1.牛伝染性リンパ腫ウイルス感染無症状牛5頭、持続性リンパ球増多症牛7頭および牛伝染性リンパ腫発症牛発症牛3頭の末梢血単核球を収集した。 2.活性化マーカーであるH3K4me3およびH3K27acを用いたChIP-seqにより、牛伝染性リンパ腫ウイルス感染無症状から持続性リンパ球増多症への病態進行には、発がん抑制遺伝子がコードされている領域のH3K4me3およびH3K27ac修飾が外れることによる遺伝子発現不活性化が関与している可能性が示唆された。加えて、持続性リンパ球増多症から牛伝染性リンパ腫発症への病態進行には、細胞分裂関連遺伝子がコードされている領域がH3K4me3およびH3K27ac修飾されることにより、これらの遺伝子が活性化されることが関与している可能性が示唆された。 3.牛伝染性リンパ腫発症に関与するゲノミックな要因としてウシ主要組織適合遺伝子複合体遺伝子に着目し、牛伝染性リンパ腫発症高齢牛と発症若齢牛におけるウシ主要組織適合遺伝子複合体アレルを比較した。その結果、牛伝染性リンパ腫発症若齢牛におけるBoLA-DRB3:1501アレル保有割合は、発症高齢牛の保有割合に比べ有意に高かった。したがって、BoLA-DRB3:1501アレルは伝染性リンパ腫早期発症傾向を有するアレルであると考えられた(Maezawa et al., Vet. Microbiol., 2023)。 4.これまで牛伝染性リンパ腫発症牛より検出されていなかった牛伝染性リンパ腫ウイルスC株により引き起こされた牛伝染性リンパ腫症例に遭遇した(Daiji et al., J. Vet Med. Sci., 2023)。
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