研究課題/領域番号 |
23K14080
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小畠 結 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (00805442)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 犬 / 変性性脊髄症 / SOD1 / 筋萎縮性側索硬化症 / 金属イオン |
研究実績の概要 |
リコンビナント蛋白質を用いたヒスチジン銅の添加による変異型SOD1蛋白質凝集性の評価、および培養神経細胞を用いたヒスチジン銅の添加による変異型SOD蛋白質凝集体の評価を実施した。 まずは、犬変異型SOD1プラスミドを導入した大腸菌を用いてリコンビナント変異型 SOD1蛋白質を作製した。作製したリコンビナントSOD1蛋白質にヒスチジン銅を添加し、示差走査蛍光定量法により変性中点を解析したところ、いずれの添加濃度においてもリコンビナント変異型SOD1蛋白質の変性中点が添加前と比較して高くなることが明らかとなった。この結果から、ヒスチジン銅の投与により犬変異型SOD1蛋白質の熱構造安定性が高くなり、凝集性が低下する可能性が示された。 続いて、変異型SOD1プラスミドをリポフェクション法により導入した培養神経細胞 (変性性脊髄症モデル細胞) にヒスチジン銅を添加し、細胞内に発現した変異型SOD1蛋白質凝集体量の変化を明らかにした。凝集体量は免疫蛍光染色およびウエスタンブロッティングにより評価した。いずれの実験系においても、ヒスチジン銅添加前と比較してヒスチジン銅添加後の方が、変異型SOD1蛋白質凝集体量が減少することが示された。また、免疫蛍光染色の結果から、凝集体形成率が野生型SOD1蛋白質と同等にまで低下することが明らかとなった。 本年度の研究成果から、ヒスチジン銅が変異型SOD1蛋白質凝集体の形成を抑制することで、変性性脊髄症の進行を抑制する効果を有することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説通りCuイオンの添加により変異型SOD1蛋白質凝集体の形成を抑制された。
|
今後の研究の推進方策 |
同様の手法を用いて今後は酢酸亜鉛を用いた研究を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では 、1年目はリコンビナント蛋白質を用いた実験をヒスチジン銅および酢酸亜鉛両方で実施し、2年目に培養細胞を用いた実験を行う予定であった。しかしながら、リコンビナント蛋白質を用いた実験で、ヒスチジン銅の結果が良好であったため、リコンビナント蛋白質を用いた酢酸亜鉛の実験ではなく、ヒスチジン銅を用いた培養細胞実験を先に実施した。そのため、当初の実験計画と異なることとなり、次年度使用額が生じた。
|