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2023 年度 実施状況報告書

人工的なPS露出によるeat-meシグナルは免疫チェックポイントを上回るか

研究課題

研究課題/領域番号 23K14144
研究機関富山大学

研究代表者

中尾 裕之  富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (00805020)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードフリップフロップ / スクランブラーゼ / 膜貫通ペプチド / リン脂質 / ホスファチジルセリン
研究実績の概要

がん腫瘍には細胞を貪食・除去する作用をもつ免疫細胞、マクロファージが集積しているが、がん細胞との間の免疫チェックポイント相互作用により、貪食作用が抑制されている。このマクロファージががん細胞を貪食するよう誘導できれば、がんの除去に利用することが可能になる。応募者は、細胞の形質膜において内層と外層の脂質を混合する(脂質スクランブリング)ペプチドを開発した。本研究では、このPS露出が免疫チェックポイントを上回って、マクロファージの貪食を誘導できるかを明らかにする。本研究は、脂質スクランブリングによるPS露出を介してマクロファージによるがん細胞の貪食を誘導する、というがん免疫療法の新規戦略を開発する上で基盤となる研究である。これまでに開発したペプチドでは、PS露出度がある一定のところで活性が飽和してしまう。そこで本年度は、より活性の高いペプチドの開発に取り組んだ。応募者はこれまでの研究で、膜貫通ヘリックスの同一面に親水性残基を並べると脂質スクランブリング活性が相
乗的に上昇することを見出している。この知見をPS露出ペプチドに応用し、高活性化を行う。親水性残基としてArg、Lys、Hisなどを導入したペプチドを合成し、リポソームを用いたモデル膜系で脂質スクランブリング活性を評価した。いずれのペプチドもこれまでに開発したGlnが1残基のペプチドと比較して高い活性を示した。また、CDスペクトルから膜に添加したペプチドがヘリックス構造を形成することを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

想定通り、膜貫通領域に配置する親水性残基の数を増加させることで、ペプチドの活性を増大させることに成功した。これらのペプチドを用いてPS露出度の高い細胞の調製が期待されるため、本研究課題は当初の研究計画通りに進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今後は高活性ペプチドを培養細胞に作用させ、PS露出度の高い細胞の作製に取り組む。貪食実験に適切なマクロファージについても検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

消耗品の購入量に少し違いがあったため、次年度使用額が生じた。次年度の消耗品購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (12件)

  • [雑誌論文] Impact of transmembrane peptides on individual lipid motions and collective dynamics of lipid bilayers2023

    • 著者名/発表者名
      Nakao Hiroyuki、Nagao Michihiro、Yamada Takeshi、Imamura Koki、Nozaki Koichi、Ikeda Keisuke、Nakano Minoru
    • 雑誌名

      Colloids and Surfaces B: Biointerfaces

      巻: 228 ページ: 113396~113396

    • DOI

      10.1016/j.colsurfb.2023.113396

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Fine-Tuning and Enhancement of pH-Dependent Membrane Permeation of Cyclic Peptides by Utilizing Noncanonical Amino Acids with Extended Side Chains2023

    • 著者名/発表者名
      Matsuda Motomi、Ikeda Keisuke、Kameda Tomoshi、Nakao Hiroyuki、Nakano Minoru
    • 雑誌名

      Journal of Medicinal Chemistry

      巻: 66 ページ: 7054~7062

    • DOI

      10.1021/acs.jmedchem.3c00628

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Nanometer-Scale Proximity of Bilayers Facilitates Intermembrane Lipid Transfer2023

    • 著者名/発表者名
      Miyajima Ayari、Nakao Hiroyuki、Ikeda Keisuke、Nakano Minoru
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry Letters

      巻: 14 ページ: 4172~4178

    • DOI

      10.1021/acs.jpclett.3c00154

  • [雑誌論文] Energy Diagram of Phospholipid Transfer from Membranes with Different Curvature Revealed by Time-Resolved Neutron Scattering2023

    • 著者名/発表者名
      Nakano Minoru、Nakao Hiroyuki
    • 雑誌名

      Neutron News

      巻: 34 ページ: 10~12

    • DOI

      10.1080/10448632.2023.2191573

  • [学会発表] 液-液相分離ペプチドがつくるエマルション様粒子の創製と安定化2024

    • 著者名/発表者名
      山下息吹, 池田恵介, 鎌形清人, Syamil Muharror Amsanul Husna, 中尾裕之, 中野実
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
  • [学会発表] ホスファチジルセリン露出活性の異なる脂質スクランブリングペプチドの開発2024

    • 著者名/発表者名
      柴崎蒼太, 中尾裕之, 池田恵介, 中野実
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
  • [学会発表] 脂質-ペプチドナノディスクの構造不安定化を利用した膜タンパク質送達技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      筏井佳奈子, 池田恵介, 中尾裕之, 中野実.
    • 学会等名
      第73回コロイドおよび界面化学討論会
  • [学会発表] 多量体化を介して脂質フリップフロップを制御する膜貫通ペプチドの開発2023

    • 著者名/発表者名
      山本泰直, 中尾裕之, 池田恵介, 中野実.
    • 学会等名
      第73回コロイドおよび界面化学討論会
  • [学会発表] 数ナノメートルまで近接した脂質膜間で起こるリン脂質移動メカニズムの解明2023

    • 著者名/発表者名
      中尾裕之, 宮島綾梨, 池田恵介, 中野実.
    • 学会等名
      第73回コロイドおよび界面化学討論会
  • [学会発表] ホスファチジルセリン露出ペプチドの開発2023

    • 著者名/発表者名
      清水裕道, 中尾裕之, 池田恵介, 中野実.
    • 学会等名
      第44回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
  • [学会発表] 環状ペプチドの pH 依存的な脂質膜透過活性の制御2023

    • 著者名/発表者名
      池田恵介, 松田幹望, 亀田倫史, 中尾裕之, 中野実.
    • 学会等名
      第44回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
  • [学会発表] ペプチドーリン脂質ナノディスク構造の安定化にカチオンーπ相互作用が果たす役割の理解2023

    • 著者名/発表者名
      加藤紗英, 池田恵介, 中尾裕之, 中野実.
    • 学会等名
      日本膜学会第45年会・膜シンポジウム2023合同大会
  • [学会発表] 脂質スクランブリングペプチドにより出芽した細胞外小胞の解析2023

    • 著者名/発表者名
      加藤杏南, 中尾裕之, 池田恵介, 中野実.
    • 学会等名
      日本膜学会第45年会・膜シンポジウム2023合同大会
  • [学会発表] アミロイドβと酸性高曲率膜との相互作用にアミノ酸変異が与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      田中翔, 池田恵介, 中尾裕之, 中野実.
    • 学会等名
      日本膜学会第45年会・膜シンポジウム2023合同大会
  • [学会発表] 脂質スクランブリングペプチドによる細胞非選択的なPS露出誘導2023

    • 著者名/発表者名
      中尾裕之, 清水裕道, 木村優介, 池田恵介, 中野実.
    • 学会等名
      日本膜学会第45年会・膜シンポジウム2023合同大会
  • [学会発表] フリップフロップ促進ペプチドによるホスファチジルセリン露出誘導2023

    • 著者名/発表者名
      清水裕道, 中尾裕之, 池田恵介, 中野実.
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第135回例会

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公開日: 2024-12-25  

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