研究課題/領域番号 |
23K14180
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹之下 憂祐 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特任研究員(常勤) (40962965)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 染色体分配 / 動原体 / セントロメア / クライオ電子線トモグラフィー |
研究実績の概要 |
キネトコアは、正確な染色体分配の遂行のために、染色体上のセントロメア領域と紡錘体微小管とをつなぐ役割をもつ超分子複合体である。キネトコアは、100種類を超える構成因子がつくる複数のサブ複合体が、複数コピー連なり高度に組織化された構造をとると推測される。近年のクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により、再構成された主要なサブ複合体の構造が明らかにされつつあるが、細胞内でこれらがどのように組織化され巨大なキネトコア構造を構築しているのかは不明である。本研究では、クライオ電子線トモグラフィー法により、細胞内でキネトコア構造がどのように組織化されているのかを明らかにすることを目的とする。さらに、キネトコアと紡錘体微小管との結合を弱めた変異細胞を解析することで、細胞内で組織化されたキネトコア因子が紡錘体微小管と安定的に結合する原理を明らかにする。 本年度は、まず、細胞内においてキネトコア構造をクライオ電子線トモグラフィー法で観察するために、cryo-FIB/SEMを用いたサンプル加工法の確立をおこなった。実際に、蛍光ビーズを細胞と一緒にgrid上で凍結し、蛍光ビーズの蛍光像とFIB/SEM像とを利用して光-電子相関顕微鏡法をもちいることで、目的の構造体を含むラメラを効率よく作製することが可能となった。また、キネトコアと紡錘体微小管との結合を弱めた細胞の細胞生物学的な表現型解析もおこなった。これまでに、細胞の増殖異常やキネトコアに結合する紡錘体微小管の量の減少などの染色体分配の異常を示唆する表現型が観察されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、クライオ電子線トモグラフィー用のサンプル加工法を効率よく行う体制を整えることができた。解析に使用する細胞の準備も進んでいる。以上のことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
確立したサンプル加工法を用いて、クライオ電子線トモグラフィーによるキネトコアの構造解析を行う。さらに、キネトコアと紡錘体微小管との結合を弱めた変異細胞についても同様の解析を行い、キネトコアと紡錘体微小管とが安定的に結合する構造原理を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた消耗品などを運営費交付金で購入することができ、予定分を使用しなかった。2024年度におこなうクライオ電子線トモグラフィーによる観察には多くの経費を必要とするため、2024年度に全額執行する予定である。
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