研究課題/領域番号 |
23K14190
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
池田 貴史 京都産業大学, タンパク質動態研究所, 研究員 (40962329)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 左右非対称性形成 / Nodal / Dand5 / 細胞外基質 / ゼブラフィッシュ |
研究実績の概要 |
DANファミリー分泌タンパク質であるDand5は、脊椎動物初期胚の左右軸オーガナイザーと呼ばれる組織において右側特異的に発現し、脊椎動物の左右非対称性形成に必須な役割を果たす。Dand5は胚の右側においてNodalシグナルを阻害することにより、側板中胚葉に左右非対称な遺伝子発現をもたらすとされているが、特に分泌後の細胞外での動態に注目した作用機序の解明は遅れている。本研究では、ゼブラフィッシュ胚を用いて左右非対称性形成期におけるDand5の細胞外での分布様式を可視化し、さらにその分布制御機構を解明することを目指す。本年度は、Tol2法を用いた遺伝子組換によりタグつきDand5タンパク質を左右軸オーガナイザー特異的に発現する系統を複数作製し、それぞれの系統においてDand5タンパク質がどのような細胞外分布を示すかを明らかにした。別のNodal阻害タンパク質であるLeftyについても、同様の手法により細胞外分布様式を可視化してDand5と比較した。これらの固定胚観察に加え、樹立した系統の胚に対してFCS(Fluorescence correlation spectroscopy)法を適用し、Dand5タンパク質の細胞外での拡散動態を定量的に解析した。さらに、Dand5と相互作用する可能性のある複数の細胞外基質について、蛍光免疫染色法によりゼブラフィッシュ初期胚での分布を可視化し、Dand5との共局在性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、タグつきDand5の発現・検出システムを構築できた。さらに、Dand5と相互作用する細胞外基質の候補を複数同定できた。
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今後の研究の推進方策 |
タグつきDand5の発現および検出システムの改良をさらに進め、Dand5の細胞外分布様式の解明を目指す。さらに内在性Dand5の標識に向けて、CRISPR/Cas9法によるin-frameノックインの条件検討を進める。Dand5と相互作用する可能性のある細胞外基質について、コアタンパク質のノックアウトまたは分解実験を行い、Dand5の細胞外分布制御や左右非対称性形成への関与を実験的に検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度使用額の残高に相当する適当な物品がなかったため。繰越分は次年度の消耗品費として使用する。
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