研究実績の概要 |
生殖組織由来培養細胞OSCにおいてRhinoと共局在するヒストン修飾(アルギニンにADMA修飾をもつヒストン; H3R2me2a, H3R8me2a, H3R17me2a, H3R26me2a, H4R3me2a, 以降ADMA-histones)の機能と制御を明らかにするため、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って実験を行い、以下の知見を得た。 ①ショウジョウバエゲノムに存在するアルギニンメチル化酵素(drosophila arginine methyltransferase, DARTs)のOSCにおけるknockdown(KD)と免疫染色実験によって、DART1及びDART4がRhinoのfoci形成に必須の因子であることを同定した。またChIP-seq実験から、DART1がH4R3me2aを、DART4がH3R17me2aをそれぞれ介してRhinoの局在を安定化することも明らかにできた。 ②ショウジョウバエ個体を用いてADMA-histonesの局在をChIP-seqで確かめ、①の現象が培養細胞だけでなく生きた個体の卵巣でも同様に生じることを確認した。 ③DART4の生殖組織特異的KD(GLKD)実験によって、Rhinoの局在がbroadに失われる領域をゲノム中に43箇所同定できた。この領域はその末端にADMA-histonesを持つこと、piRNAの産生は見られるもののその量は低いこと、主要なpiRNA cluster(42AB等)はDART4GLKDの影響を受けなかったこと等から、この領域はRhinoが現在進行形でspreadしているものの局在安定化のphaseには至っていないと考えられた。この領域はpiRNA clusterの形成過程の最初期と考えられたため、initial-stage piRNA clusters(INSECTs)と名付けた。
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