研究実績の概要 |
本研究は、同所的に生育する姉妹種の花形態に関わる遺伝子領域の特定と、そこにかかる選択圧を定量的に評価することによって、「進化の起こりやすさ」を実証的に検証することを目的としている。本年度は、花形態の進化に関わる遺伝子領域を特定するために必要な(1)ドラフトゲノムの新規構築、そして、次年度以降の候補遺伝子の探索に用いる(2)F1の作成を行った。 (1)ドラフトゲノムの構築では、域外保全されていたカワセミソウ1個体から高純度かつ低切断のDNAを抽出することに成功し、Nnopore PromethIONを用いたロングリードシーケンスと解析を行った。これに加えて、遺伝子領域を予測をするためにカワセミソウの花・葉・根からRNAを抽出し、DNBSEQによってRNA-seqも実施した。その結果、アッセンブリサイズは1,048 Mbp(カワセミソウで推定される全ゲノム配列の85%をカバー)、30,576個の遺伝子がアサインされ、BUSCOによるクオリティ評価ではコア遺伝子セットの96.6%(Single: 83.3%, Double: 13.3%)がカバーされるドラフトゲノムを構築することに成功した。 (2)ゲノム内の遺伝的変異と花形態の関係を解析するために、カワセミソウとその姉妹種であるサギゴケを交配させ、F1を作成した。得られたF1個体は順調に生育しており、今後さらに相互交配を行う予定である。
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