研究課題/領域番号 |
23K14295
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
宮下 聡 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 病態生化学研究部, 室長 (30828900)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 小脳 / UBCs / snRNA-seq |
研究実績の概要 |
単極性刷毛細胞(Unipolar Brush Cells; 以下UBCs)は、機能未知の小脳興奮性細胞である。近年の研究によって、電気生理学的特性が明らかとなり、高次な認知機能をもつ生物ほどUBCsの数が増加していることが見出されたことから、その重要性が示唆されてきている。しかし、UBCsの生理機能に関してはこれまでに全く解明が進んでいない。本研究では小脳の運動・高次機能に果たすUBCsの機能を調べるために、研究を行っている。令和5年度は、これまでに取得した単一細胞核RNA-seq(以下snRNA-seq)データを解析することにより、UBCsのサブグループを同定することを目的として研究を実施した。 成体マウスの小脳由来のsnRNA-seqデータからUBCsだけを抽出し、sub-clusteringを実施することにより、UBCsのサブタイプを詳細に調べた。その結果これまでに示唆されていたサブグループだけではなく、新規サブグループを同定することができた。さらに、それらのサブグループに特徴的に発現する遺伝子を網羅的に探索することによって、マーカー候補となりうる遺伝子を複数同定することができた。 また、令和5年度から所属が変更となったため、これまでに用いていた遺伝子改変マウスの個体化や実験条件の検討などを新たにやり直した。次年度以降には遺伝子改変マウスを用いてさらなる解析が実施できる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度から所属が変更となり、マウスの個体化や実験環境のセットアップを再度行う必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度では、UBCsのサブグループを区別するためのマーカー分子候補を同定できたため、令和6年度は抗体染色や蛍光in situ Hybridyzationによって、組織内におけるマーカー発現を確かめる。また、遺伝子改変マウスの個体化を進め、予定していたUBCsの除去実験や神経回路標識実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度ではマウス個体を用いた実験が予定より少なかったため。
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