研究課題/領域番号 |
23K14338
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
増田 秀幸 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (20869119)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 脂質ナノ粒子 / がん微小環境 / ドラッグデリバリー |
研究実績の概要 |
本研究は一部内容を変更し、膵がんなど化学療法抵抗性のがんによく見られるコラーゲンなどの間質が豊富ながん微小環境に対し、コラーゲンの架橋を抑制させるタンパク質meflinの発現を介して微小環境を改善させる脂質ナノ粒子の開発を目的とした。
初年度は研究の基盤を構築するため、mRNA脂質ナノ粒子の調製のための器具の発注、調製手技の習得及び基本的な品質評価及び先行研究の調査を行った。 手技習得のためEGFPをコードしたmRNA脂質ナノ粒子の調製をマイクロ流体デバイスを用いて実施した。いくつかのmRNAとイオン化脂質の比率を試し、均一性の高い粒子径100 nm程度の脂質ナノ粒子を調製した。調製したmRNA脂質ナノ粒子をRAW264.7細胞に取り込ませ、フローサイトメーターを用いてEGFPの発現を評価した結果、用量依存的にEGFPの発現を示した細胞が確認された。
先行研究の調査では、がん微小環境内でコラーゲンなどの間質の産生にかかわるがん関連線維芽細胞に関する文献を調査した。がん関連線維芽細胞はヘテロな細胞集団であり、個々のサブタイプによってがんの進展への寄与の仕方が異なっており、産生された間質には薬物やがんを攻撃するT細胞の浸潤を防ぐほか、免疫チェックポイント分子と相互作用して免疫抑制の誘導及びリモデリングによりがん細胞が転移する際に通り道を形成することを学んだ。精読した文献を整理し、総説を執筆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度は持病の悪化により静養が必要となり、実験は予定したように進まなかった。また研究内容の一部変更や円安による試薬類の高騰のため、予想以上に出費がかさみ購入予定だった試薬の購入を見送ることになってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はがん細胞と線維芽細胞のスフェロイドによる微小環境の変化を検出する実験系構築とmeflinコードmRNA脂質ナノ粒子による微小環境の変化を評価する予定である。また執筆中の総説も2年度目に投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
持病の悪化のため、参加予定の学会参加を見送った他、実験が予定より大幅に遅れたためである。次年度の予算と合わせて購入予定の機材や学会参加費に充てる予定である
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