研究課題/領域番号 |
23K14373
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
君嶋 葵 北里大学, 感染制御科学府, 助教 (10832404)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グラム陰性細菌 / 三型分泌機構 / 抗感染症薬 / 天然物 |
研究実績の概要 |
感染症対策において、薬剤耐性化と新規薬剤の対策はイタチごっこである。そのため、抗菌薬が病原体に殺菌的または静菌的に作用する限り、この深刻な耐性菌の出現問題を回避することは難しい。耐性菌として代表的なグラム陰性病原菌に高度に保存されているIII型分泌機構 (T3SS) は、病原性因子の分泌などの感染機構に必須であるが、病原体の生存に必須ではないとされている。従って、T3SS阻害剤は、毒素の大量放出、正常細菌叢の撹乱を防ぐことで、耐性菌出現の可能性を劇的に減少させることができる新しい概念を持つ抗感染症治療薬として期待できる。そのような背景のもと、T3SS阻害剤の探索が行われ、aurodoxがマウス腸管内感染モデル系でも治療効果を示す天然物として見出された。本研究では天然物aurodoxを培養により取得し、誘導体を合成し、T3SS阻害活性、膜透過性評価を行うことで、天然物を上回る活性を示す新規誘導体の創製を行う。研究計画通りに、当研究所が有するaurodox生産放線菌を用いて、天然物の大量取得を行った。生産量として、400 mg/L程度で、aurodoxは生産されるため、研究所が保有する30 Lジャーファーメンターを用いて30-40 gを目処に大量培養を行い確立した手法により、天然物を取得することができた。続いて、培養により取得したaurodoxを用いて、誘導化検討を行った。その際に、申請者が明らかにした構造活性相関研究の知見を参考に、抗菌活性が消失し、T3SS阻害活性を維持したベンゾイル誘導体をリードとして、ベンゼン環上に様々な置換基を導入した誘導体を合成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って、研究を順調に進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、脂溶性が高い化合物は膜透過性が高いとされているので、水溶性基を導入することで腸管吸収性が低い化合物を合成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は天然物の培養による取得に注力したため、次年度に誘導体合成や生物活性評価に注力する予定であり、次年度に適切に研究費を使用する予定である。
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