研究課題/領域番号 |
23K14385
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
稲垣 舞 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (90878274)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胎盤 / 胎盤関門 / 膜小胞 |
研究実績の概要 |
母体血液と胎児血液を隔てる胎盤関門は、合胞体性栄養膜細胞を実体とし、様々な輸送体を発現して、母体から胎児への薬物移行を制御している。そこで胎盤関門において、輸送体を介した薬物移行性を予測する方法論の開発は重要である。本研究は、合胞体性栄養膜細胞から分泌される膜小胞に着目し、膜小胞の特性をタンパク質レベルで明らかにすることで、分泌元細胞における輸送体の機能を評価するための基盤構築を目的とした。胎盤関門の実体であるヒト合胞体性栄養膜モデル細胞から細胞膜画分を、培養上清から分泌膜小胞を精製し、網羅的プロテオミクスによる輸送体の同定及び相対的な発現レベルの比較解析を行った。同定された輸送体60分子については、ヒト合胞体性栄養膜モデル細胞の細胞膜画分及び膜小胞の両方に発現し、両画分における輸送体の発現レベルには正の相関が示された。その中には、胎盤関門において薬物の胎児移行性に寄与することが報告されているENT1/SLC29A1や薬物排出輸送体であるBCRP/ABCG2が含まれていた。次に、超遠心法、ポリマー沈殿法、高吸収性樹脂、及びサイズ排除クロマトグラフィーを用い、マウス血漿中から膜小胞を精製する方法について検討した。精製した血漿中膜小胞について、網羅的プロテオミクス解析を行った結果、非妊娠マウス血漿中と、同週齢の妊娠マウス血漿中の膜小胞で、それぞれ約1000種類の分子が同定され、CD9やCD81などのエクソソームマーカー分子群を発現していることが示された。さらに、妊娠マウス血漿中の膜小胞画分に特異的に発現するタンパク質を17分子同定した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の通り、ヒト合胞体性栄養膜モデル細胞が培養上清中に分泌する膜小胞の特性をタンパク質レベルで明らかにした。マウス循環血漿中から膜小胞を精製する手法を検討し、妊娠マウス血漿中の膜小胞画分に特異的に発現するタンパク質を同定した。以上のことより、次年度における胎盤関門輸送体の機能評価を推進するための基盤的な成果を得ることができ、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
胎盤関門における輸送体機能の評価手法を向上させるために、分子生物学の専門家からの助言を仰ぐことによって、合胞体性栄養膜細胞が細胞外に分泌する膜小胞を循環血液中から単離する手法を確立する。さらに、スクリーニング系を構築し、輸送体を介した薬物輸送活性を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
輸送体機能評価の予備検討に用いる質量分析カラム及び細胞培養消耗品の購入を想定していたが、解析の一部を次年度に行うこととしたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、翌年度として請求した研究費と合わせて質量分析カラム及び培養細胞消耗品の購入に使用する予定である。
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