研究課題/領域番号 |
23K14387
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
照喜名 孝之 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30784574)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | PLGAマイクロ粒子 / 放出制御 / 歯周病治療 / 光応答性 / 熱応答性 |
研究実績の概要 |
本研究では、薬剤を持続的に接着しにくい口腔内の歯周病患部において、歯周病により失った歯槽骨再生のため、効果的にかつ効率よく薬剤を送達可能なPDTに用いるゲル製剤開発という歯周病根治につながる技術を創出することを目的としている。2023年度は光増感剤と薬物共封入微粒子の調製とレーザー照射による活性酸素放出量の評価を行った。まず、生体親和性を有するポリ乳酸・グリコール酸共重合体に骨形成作用のあるモデル薬物としてシンバスタチンを封入した水中油型(Oil in Water; O/W)マイクロ粒子を調製した。次に、光増感剤を上記粒子に共封入するため、トルイジンブルーを内水相に封入したWater in Oil in Water(W/O/W)エマルション法を用いてマイクロ粒子を調製した。このW/O/Wエマルションの安定性並びに粒子として得るsolidificationの工程を安定的に行う条件の探索を行った。その後、マイクロ粒子を懸濁したpH7.4のリン酸バッファー中に懸濁し、歯科治療で用いられる波長810 nmのレーザーを照射して、活性酸素の発生量をルミノメーターで測定した。また、レーザー照射により生じた活性酸素によるマイクロ粒子の崩壊に応じた初期薬物放出速度について検討を行った。その結果、活性酸素が想定よりも発生していないことが確認されたこと、薬物放出速度についてW/O/Wマイクロ粒子とO/Wマイクロ粒子の場合とで有意な差が見られなかったことから、粒子調製法について新たに検討する必要性が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は、薬物と光増感剤を共封入するポリ乳酸・グリコール酸共重合体の調製について検討を行ってきたが、光増感剤の内水相中での安定性が悪く、高封入率を達成する処方検討に時間を費やしたため遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に得られた知見に基づいて、内水相中で光増感剤を安定化させる方法をまず検討し、その後、レーザー照射によりマイクロ粒子からの薬物放出制御に関して研究計画にしたがって行いながら、光応答性薬物放出制御粒子の調製方法について確立することを目指す。
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