研究課題
本研究では、3次元培養法を利用した代表的なシトクロムP450(CYP)活性の同時評価系を構築し、CYP活性に対する薬物による影響について網羅的に評価・解析を行うことを主目的として進めている。当該年度は、まず、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析装置(LC-MS/MS)を用いて代表的なCYPの基質薬物(フェナセチン:CYP1A2、ジクロフェナク:CYP2C9、メフェニトイン:CYP2C19、ブフラロール:CYP2D6、ミダゾラム:CYP3A4)、その代謝物(アセトアミノフェン:CYP1A2、4'-水酸化ジクロフェナク:CYP2C9、4'-水酸化メフェニトイン:CYP2C19、1'-水酸化ブフラロール:CYP2D6、1'-水酸化ミダゾラム:CYP3A4)、内標準物質の一斉分析法の構築した。次いで、CYP発現アデノウィルスを用いてCYPを過剰発現させた肝がん由来細胞株HepG2細胞(CYP過剰発現細胞)を平面2次元培養し、各基質を反応させた。その結果、各代謝物を測定することができ、構築した一斉分析法でCYP活性を評価できることが確認できた。本検討は平面2次元培養法で実施したため、現在、3次元培養法を用いて代謝物の測定が可能か、および、ヒト初代培養肝細胞との比較について検討している。
2: おおむね順調に進展している
令和5年度は、LC-MS/MSを用いて代表的なCYPの基質薬物、その代謝物、内標準物質の一斉分析法の構築し、CYP過剰発現細胞のCYP活性を評価することできたため。
次年度は、まず、3次元培養法を用いてヒト初代培養肝細胞、CYP過剰発現細胞のCYP活性の評価について検討を行う。次いで、各CYP特異的な阻害剤を用いて、ヒト初代培養肝細胞、CYP過剰発現細胞、ヒト肝ミクロソームにおけるCYP阻害効果について比較検討を行う。
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