研究課題/領域番号 |
23K14409
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
平井 利典 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90836363)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 母集団薬物動態モデル / 免疫抑制剤 / エベロリムス |
研究実績の概要 |
まずは、免疫抑制剤であるエベロリムスの母集団薬物動態モデルの構築を目指して、臨床研究を実施した。対象症例は、生体腎移植に伴いエベロリムスの経口内服を導入した成人症例を対象に後ろ向き観察研究を計画した。薬物代謝酵素シトクロムP450 3A5遺伝子多型を測定していない症例を除外基準に設定した。肝線維化の指標は、ALBIスコアとFIB-4スコアを用いて、薬物動態の変動要因として応用できるのかを試みた。 構築できたデータセットに含まれる症例数は37例であった。エベロリムスの採血ポイント861点における総トラフ値の中央値は、4.2 [範囲:0.6~12.9] ng/mL、追跡期間は707 [7~2177] 日であった。今回はトラフ血中濃度のみを扱うため、1次吸収過程を伴う1-コンパートメントモデルとして解析し、吸収速度定数と分布容積は既報の値を用いた。 ステップワイズ式変数増減法により共変量を探索したところ、最終モデル候補の経口クリアランス式に性別とALBIスコアが共変量として組み込まれた。VPCとブートストラップ法にてモデルの堅牢性が問題なければ、最終モデルを決定とする予定である。今後の予定として、モンテカルロ・シミュレーションによる至適投与量の検討に移る予定である。任意の投与量と共変量に応じたエベロリムス目標トラフ濃度(3.0~8.0 ng/mL)の到達率を算出し、エベロリムスの個別投与設計に利用できる情報を構築していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究を遂行し、データセットの構築に成功している。現在はモデルの構築が終わり、評価の段階に移っており、滞りなく進んでいるものと判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
最終モデルにて採用された、共変量に基づいたエベロリムスの個別投与量を検討する予定である。可能なところから原著論文の執筆を開始している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画はほぼ予定通りに進んでいるが、少額の未使用額が生じた。 次年度の消耗品などに使用する予定である。
|