研究課題
静脈血栓塞栓症はがん患者において頻度の高い合併症であり、がん患者の生命予後に大きく関連している。現在、直接作用型経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulants: DOAC)は、がん患者の静脈血栓塞栓症の治療・再発予防の標準療法に位置づけられている。しかし、日本人では、DOACを通常用量で開始すると頻度が高いことが問題となっており、一方で安易な減量は治療効果の減弱を招き、用量調節に難渋するケースが多い。そこで本研究では、DOACの薬物動態学的パラメータと副作用・有効性・血液凝固第Xa因子活性の関連を解析して、DOAC の至適濃度を同定する。また、薬物動態に関連する遺伝子多型と有効性・安全性・DOAC 濃度を解析することで、がん患者における、ファーマコゲノミクス検査(Pharamacogenomics: PGx)を統合した薬物血中濃度モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring: TDM)に基づくDOACの個別化薬物療法の確立を目指す。臨床研究は、倫理委員会の承認を得て、多機関共同研究として開始できている。現時点で、エドキサバンが9例、アピキサバンが2例、リバロキサバンが5例研究登録できている。DOACの薬効・副作用の評価を実施して、臨床検体を用いた、薬物血中濃度の測定、血液凝固第Xa因子活性の測定、薬物動態関連因子の遺伝子解析を進めている。
3: やや遅れている
がん患者におけるDOACの血中濃度と遺伝子多型検査を活用した投与量個別化を目的とした本研究は、DOACの血中濃度・遺伝子多型検査と有効性・副作用との関連を解析する必要があるが、現時点では、症例が少数であり、統計学的検定を実施できていないことが上記区分の理由となっている。
引き続き、臨床計画書に沿って、臨床薬物動態解析、臨床薬力学態解析、およびファーマコゲノミクス解析の結果から、母集団薬物動態/有害事象回避モデルの開発を行う。
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Clinical Pharmacology & Therapeutics
巻: 115 ページ: 1141~1151
10.1002/cpt.3183
医療薬学
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